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# 不正・事件・犯罪 # 鉄道

なぜ『盗り鉄』は減らないのか?鉄道会社が直面する「不都合な現実」

曖昧すぎる鉄道古物売買の闇

手に入らない趣味、というジレンマ

鉄道に関する盗難事件が後を絶たない。先日、ある鉄道古物を扱う店がインターネットオークションに出品したところ、ネット上でその商品に関連する盗難事件が指摘されて騒ぎになった。その店は鉄道部品の収集家から仕入れており、収集家は入手経路を店に伝えた上で盗品ではないと主張した。店は念のため盗難に遭った鉄道会社に照会を依頼しているという。

埼玉県・大宮にある鉄道博物館

今年1月にはさいたま市の鉄道博物館が展示品の盗難と破損を報告。特別展示を休止した。5月にはJR東海が電車の運転台などの盗難により、列車運行に支障があったと発表した。最近では台風19号に被災し不通となった鉄道路線で、車庫に戻れず駅に留め置かれた車両から行先表示装置が盗まれたと報じられている。

JR北海道では廃止した駅から設備が盗まれる事件があり、同社は廃止後の設備解体、保管を急いでいるという。廃止された駅にはそれなりの風情があり、往時に思いを馳せて散策する「廃線紀行」を楽しむ人も多いけれど、盗難や盗難予防のために跡形もなくなってしまう。寂しいし、悔しい。

 

もっとも、鉄道に限った話ではなく、社会では多数の盗難事件が発生しており、その現場の1つが鉄道だという考え方もできる。鉄道という特異な場所、鉄道部品という趣味性の高い標的だから目立ち、報道されやすいとも言える。

あえて「鉄道部品を盗む動機」を挙げるとすれば、鉄道趣味の特殊性だろうか。そもそも鉄道は趣味者のために存在しているわけではない。近年は鉄道趣味も広く知られ理解されつつあるけれども、鉄道の業務は輸送であり、ファンサービスではない。