結婚したら「新しい姓」を作れる?フィンランドから日本が学べること

子どもに4つも名前をつけていい
岩竹 美加子 プロフィール

結婚に対するロマンティックな考え方

夫の姓への改姓という慣習は、フランスなどから西フィンランドに伝わった。しかし、場所や階級による差があった。

西フィンランドでは、1700年代から上流階級や聖職者の子女の間で、夫の姓を名乗ることが流行した。その背景にあったのは、結婚に対するロマンティックな考え方である。

女性の改姓は、1800年代になると裕福な農民層にも広がった。一方、婿入りした男性は、妻の姓になることがあった。

しかし、東フィンランドでは、結婚後も女性は旧姓のままでいることが多かった。

フィンランドで、最初に「姓に関する法律」が制定されたのは1920年である。当時は、屋号も使われていて、苗字を持たない人もいた。1920年の法律は、全ての人が苗字を作ることを規定。屋号を苗字にしたケースもあった。

こうして見ると、フィンランドで女性が改姓する、または旧姓と夫の姓を組み合わせた複合姓にすることが、法的に義務づけられていたのは、1930年から1985年までの55年間だけである。つまり、夫婦同姓以外の選択肢がなかったという状況は、歴史的にないのだ。

変化の方向づけになったのは、前述したように1979年の国連女性差別撤廃条約である。男女平等を主要な論拠として、名前のあり方が変化してきた。

 

国際社会から乖離していく日本

日本には、夫婦別姓を求める動きがあるが、訴訟で棄却されるケースが相次いでいる。

2019年11月14日には、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は、憲法が禁じる「信条による差別」に当たるとして、男女6人が国に一人50万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁立川支部は、憲法には違反しないとして請求を棄却した。

また、10月2日の東京地裁判決は、夫婦同姓を定めた民法の規定が「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとはいえないとした。
 
本来の自分の名前が使えないのが辛い、仕事上、キャリア上の不便がある、改姓で経済的損失があるなどを訴える人達がいるのに、選択制夫婦別姓さえ認められない。その論拠となるのは、憲法や民法、戸籍法などの法律である。

日本は、夫婦同姓を義務づける世界で唯一の国とされる。国際社会から乖離していく東洋の小国・日本の姿が、フィンランドとの比較からも浮かびあがる。 

主要参照文献  
・Etu- ja sukunimilaki. FINLEX.
https://www.finlex.fi/fi/laki/alkup/2017/20170946
・Kyllästyitkö sukunimeesi? Valitse tästä uusi. Yle
https://yle.fi/uutiset/3-10212798
・Puolison nimi vai oma nimi? Kielikello.
https://www.kielikello.fi/-/puolison-nimi-vai-oma-nimi-
・Uuden sukunimilain pelättiin uhkaavan perheiden yhtenäisyyttä. Yle.
https://yle.fi/aihe/artikkeli/2014/09/18/uuden-sukunimilain-pelattiin-uhkaavan-perheiden-yhtenaisyytta

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