早いもので、2019年もあと残すところ1ヵ月強。年末年始は愛するペットと自宅でゆっくり過ごしたいという方も多いのではないだろうか。しかしパーティなども増えるこの時期、特に気をつけたいのがペットの誤飲・誤食なのだという。

また、昨年にはイギリスで自宅に飾ったチューリップと飼い猫の写真を撮影したのち、猫が中毒症状を起こした痛ましい事故も起きた。これは猫にとって中毒性のあるものを知らずに家に置いてしまい、気づかぬうちに口にするなりしたことが原因だと思われる。

作家で獣医師の片川優子さんに、自身の体験も踏まえ、誤飲や誤食の予防策と、万が一そうなったときの対策を教えてもらった。

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12月に増える、ペットの問題

12月のある週末、慌てた様子の飼い主がトイプードルを抱いて病院に駆け込んできた。

「子供が落とした瞬間に食べてしまって……止めようとしたら、よけい必死になって飲み込んでしまいました」

確認のために、すぐにレントゲン撮影を行うと、消化管の中にそれは確認できた。

「ここに写っていますね」

レントゲン写真に写っていたのは、クリスマスパーティーで食べていたチキンの骨だった。

骨の断端が尖っているため、吐かせると食道に刺さってしまうリスクもある。また、体に対して骨が大きかったため、飼い主との話し合いの結果、外科手術により胃から骨を取り出すことになった。

数時間で手術は無事終わったが、年末年始、トイプードルは家族と離れ、ひとりさびしく入院することになってしまった。

誤飲誤食は「不治の病」

犬や猫などのペットにおいて、誤飲や誤食は獣医師の中で不治の病と呼ばれている。どんなに気をつけても絶対に撲滅できないからだ。

異物の誤食は、若齢の個体で圧倒的に多い。若齢の犬や猫に消化器症状がある場合、異物を摂取した可能性は常に検討しなければならないし、実際、病院に消化管内異物が原因で来院した猫のほとんどが4歳未満だったとの報告もある(文献1)。

特に若齢のうちは、食べていいものと悪いものの違いがわからなかったり、おもちゃで遊んでいるうちにあやまって食べてしまうケースも多い。また、同じ個体が繰り返し異物を摂取してしまい、病院に「出戻り」してしまうことも少なくない。

ペットが飲み込んでしまう異物は、大きく分けると、①消化管に詰まったり、穴が開く可能性があるものと、②消化吸収することで中毒等を引き起こすものの2パターンに分けられる。①の場合は、うかつに吐かせるとさらに消化管を傷つけてしまう可能性があるが、②の場合はなるべく早く吐かせることで助かる可能性が高い。

以下に詳しく見ていこう。