2018年のリニューアルオープンから1周年を迎えた、「とらや 赤坂店」。半世紀以上にわたり愛され続けた改築前の店舗の名残をちりばめながらも、より気軽に、心地よく、「とらや」の世界を楽しめる空間に生まれ変わった姿は、国内外を問わず多くのゲストの心をとらえています。まさに、“日本発ラグジュアリー”の新たな形を体現している「とらや 赤坂店」。知ればきっと足を運んでみたくなる魅力の数々をナビゲートします。

季節の菓子、花、景色……
「とらや 赤坂店」の魅力

3階の菓寮では、季節限定の生菓子をお抹茶などとともに楽しめる。11月の生菓子は、色づく山の木々を思わせる「紅葉重ね」(11/16~11/30販売、450円)。黄と紅のそぼろで彩られたきんとんが目も舌も存分に喜ばせてくれる。
2階売り場の奥では、季節にちなんだ展示やshop in shopを展開。地下のギャラリーとともに、ぜひチェックを! 写真の「兎饅」(紅白2個入り、1000円)は、縁起のよさと愛らしさで人気の薯蕷饅頭。5日前までに要予約。
菓寮には、赤坂御所と豊川稲荷の緑に臨むテラスが。都心とは思えない空の広さも格別だ。
どこから見ても異なる美しさがあるようにと“四方正面”でいけられた草月流のいけばなが、菓寮を訪れた人を迎えてくれる。季節感を映したいけばなを、遠目にはもちろん間近でもじっくりと堪能したい。
代々伝わる菓子絵図帳のなかでも最も古い、元禄8年(1695年)の「御菓子之畫圖」に描かれている菓子をかたどった豆皿セット(3500円)など、オリジナルグッズも販売。
ゆるい曲線を描く建築が、開放的な空間を生み出している。縦長に切り取られた菓寮の窓から見える景色は、まるで一幅の掛け軸を目にしている気分に。中央の丸テーブルは、旧赤坂店では地下にあった菓寮で使われていたもの。
2階の売り場で圧倒的な存在感を放つのは、1674年には使われていた“鐶かん とら虎”と呼ばれる紋。旧赤坂店で使用されていたものにプラチナ箔加工を施し、日本の伝統技法である黒漆喰の“磨き壁”に掲げられている。
あえて2階に売り場を設けた店舗には、思わず上りたくなる階段が。手前に配された“鐶虎”と“TORAYA”を組み合わせたロゴには、「あらゆる人を温かくお迎えしたい」という想いが表れている。

とらや 赤坂店
東京都港区赤坂4-9-22
☎03-3408-4121(代)
営業時間:店舗・地下ギャラリー月~金8:30~19:00、土・日・祝9:30~18:00 菓寮月~金11:00~18:30(LO18:00)、土・日・祝11:00~17:30(LO17:00)※ランチタイム11:30~14:30
https://www.toraya-group.co.jp/

【COLUMN】
『日本の芸術論』の
「詩歌論」に見る日本の美意識

日本画家の千住博氏も著書内で「影響をうけた」という、国文学者で歌人の安田章生氏の名著。藤原定家や西行研究の大家として知られる著者の、誰もが頷く美意識についてご紹介します。


優しさ。
日本の美意識の根底には
「やさし」――優美がある

「幽玄」「をかし」「艶」など様々な美意識が出てきた中、そのどのスタイルにも「最大公約数的に」必要なのが、この「やさし」=優美だという。平安時代に自覚され、日本の風土、日本人の性情とも密接に関係し発展。

素直さ。
わざと優美につくるのは
最も見苦しいこと。ただし……

優美さは大切だけれど、それを無理につくろうとするのはよくない。ただし、無技巧や自然は、高い境地に至って初めて付随してくるものだという。単に自然であればよい、というのは根本的に違う、としっかり注意している。

そして、余情。
「余りの心」――余情とは
言外に漂っている情調

藤原公任は和歌を9階級に分け、その最高級として「余情」を挙げた。余情とは、言葉に直接的には表現されず、言外に漂っている情調であるという。その余情を、最も秀れた歌は持っていなければならない、とも。※藤原公任 平安時代中期の公卿、歌人。

●情報は、FRaU2019年12月号発売時点のものです。
Photogragh:Akiko Mizuno Text:Kao Tani