韓国・文在寅は何がしたかったのか…「GSOMIA騒動」が与える影響

韓国の相対的な役割は低下していく
佐藤 丙午 プロフィール

対日圧力の三つは、国際世論を通じた圧力である。韓国は「国際世論戦」に長けており、宣伝戦や国際機関の場におけるアピールにおいて日本は劣勢に立たされることが多い。朴槿恵大統領時代のそれを、日本は「告げ口外交」と呼んだこともある。

実際、安全保障貿易管理問題が浮上した直後、韓国は政府のHPに複数ヵ国語で主張を掲載している。この背景には、日本が国際社会との協調を重視する余り、強い主張に屈する傾向があることを知っているのである。

〔PHOTO〕gettyimages

今回の問題では、国際世論戦に加え、日韓の戦いはWTOの紛争処理の場に持ち込まれ、GATT1条、11条、そして21条が争点となった。

WTOでの提訴において、韓国はホワイト国除外ではなく、三品目の輸出管理厳格化を争点とした。

GATTの条文上での解釈は他の論考が詳細に説明しているが、実は日本にとって重要なのは、今回の輸出管理厳格化が第21条の安全保障のための例外の要件に適合するかどうかである。

韓国はWTOの手続き停止を表明したため、この重要な問題が「生贄」になることが当面避けられた。

 

GATT21条の例外要件に基づく輸出管理の正当化事由を争点とすることは、国際社会、中でも不拡散などの目的で安全保障貿易管理を推進してきた西側社会の政策を、大きな危機にさらす行為であった。

技術保有国が安全保障目的で輸出管理を実施する際、不拡散レジームが使用するリスト品目を国内制度に適用するケースが大部分である。しかし、WTO協定上、これら不拡散レジームの法的立場は弱い。

このため、韓国がWTOで日本に勝利した場合、他国も同様の申し立てを行い、不拡散レジームに基づく規制の正当性が問われかねない事態であった。

つまり韓国は、不拡散に関する国際秩序の法的正当性を危険にさらすことで、国際社会全体が日本の妥協を求めざるを得ない構図を作ろうとしたのである。この点は、余り注目されることはないが、今回の対立がもたらす重大な危機であった。