外見に症状を抱える人の内面を知りたい、がきっかけ

宮本さんは過去にも、この表参道のコンコースで、意欲的な写真展を行ってきた。2012年、ロンドン・パラリンピックに合わせて、パラ・アスリートたちを被写体として展覧会を行った。2016年は、日本に暮らす難民たちにフォーカスして、『難民はここ(日本)にいます』とタイトルを打った。翌年の2017年は、ダウン症の子供とその母親それぞれのポートレートを並べた『母の日』は大きな話題となった。

2017年に、ダウン症の子どもとその母親をテーマにした『母の日』。写真/宮本直孝

「今回の写真展でモデルとなる、見た目に症状を持つ方の存在は知っていました。でも、お会いしたことはありませんでした。彼らは、“人と違う”、“普通と違う”といったカテゴリーでくくられてしまう。でも、果たしてそうなのか。お会いして、彼らと向き合ってみたいと思ったのです」

こういった宮本さんの思いを“興味本位”と取る人もいるかもしれない。でも、興味を持つということは関心を寄せるということだ。すべてのコミュニケーションはそこから始まる。あえてフォーカスすることで、彼らが持つ葛藤や内面が見えてくるのではないか。さらに、症状を抱える当事者だけでなく、そのパートナーもいっしょに撮影することで、観る側も自分事ととらえやすくなり、感じるものが見えてくるのではないかと宮本さんは思ったという。

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「でも、そこからが大変でした。モデルになってくれる方は、ネットでブログなどを検索し、自分でひとりひとりメールで依頼をしました。そこにかなり時間を要しましたね。夫婦で、というお願いだったので、ご主人の仕事の関係で出られないという方もいましたが、今回モデルになってくださった10組の方は、企画書をお渡しすると、すぐに快諾いただいた方がほとんどでした。自分の存在を知ってほしいと感じている方がとても多かったのです」

そう、この写真展は過去の3回を含めてすべて、スポンサーもいない。表参道駅のコンコースも普段は、ファッション広告などが並ぶエリアだ。使用料も高額に違いない。この写真展を広告と勘違いしている人もいるが、宮本さんの自腹で行っている個人の写真展なのだ。撮影も和歌山、富山、名古屋、群馬など各地を巡ったという。