4万機の衛星でイーロン・マスクが私たちを「地球に閉じ込める」日

今月の科学ニュース「宇宙ゴミと光害」
各国で配信される科学ニュースを深掘りする好評連載。
今回は、テクノロジーを生かした新しい発表を続けることで有名なイーロン・マスクの「新挑戦」をめぐって、世界中で噴出している意外な論点を紹介する。

夜空が澄んで、星が見えやすい季節になってきた。冬の夜空をわたるオリオン座は、星があまり見えない都会でもおなじみの星座だ。

星座の歴史は長い。オリオン座を含めて、現在の天文学で使われている星座は、古代ローマの天文学者プトレマイオスがまとめた48星座がもとになっている。

星座Photo by Getty Images
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一方、私たちが見上げている空に近ごろ、新しい「星座」も加わりつつある。「衛星コンステレーション」と呼ばれる人工衛星群だ。コンステレーション(Constellation)は英語で「星座」を意味する。

アメリカのスペースX社は2019年11月11日、衛星ブロードバンドサービス「スターリンク」のための通信衛星を打ち上げた。スペースXは、電気自動車メーカー「テスラ」のイーロン・マスクがCEOを務める宇宙開発企業だ。

 

驚くのはその数。スペースXは今回、ファルコン9ロケットによる一回の打ち上げで、60個もの小型衛星を高度280キロの地球低軌道に投入した。同年5月にもやはり60個の衛星を打ち上げている。

スペースXのスターリンク衛星は、すでに1万2000個がアメリカ連邦通信委員会によって承認済み。2019年10月には3万個分の追加申請がなされており、最大で4万2000個に達する可能性がある。

この数は、宇宙時代が始まって以来、約60年間で打ち上げられた人工衛星(8950個)の約5倍にあたる。

これほど多くの通信衛星で、地球を包み込む人工衛星のネットワークを作り、世界中で衛星インターネットを利用できるようにするのが「スターリンク」の目標だ。(なお、この構想にいたるビジネス面での経緯は、こちらの記事が詳しい)

こうした「衛星コンステレーション」による衛星インターネットサービスには、他の企業も注目している。ソフトバンクグループが出資しているワンウェブ(OneWeb)は、本格的なサービス開始に向けた衛星を2020年1月に打ち上げ予定。米アマゾンも、3000個以上の人工衛星による「プロジェクト・クイパー」を計画中だ。

すでに1億を大きく超えて…

しかし現代の新しい「星座」は、インターネットの便利さと同時に、災いももたらす可能性がある。大幅に増えた人工衛星が、宇宙ゴミを増やす原因になるかもしれないのだ。