「就活自殺」を救えるか…「大量エントリー・大量落ち」の残酷な現実

学生は内定獲得までに13社落ちる…?
トイアンナ プロフィール

大学院進学がなければ、死んでいた

実際に、2020年に学部卒業で就職活動を経験した長谷川さん(仮名)に話を聞いた。

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長谷川さん:僕は4回生(学部4年生)の春ごろから就活を始めました。そのあたりから、みんな本腰を入れてたので、周りに合わせた感じですね。それからびっくりしたのが、もう結構ないい会社が募集を終えていたんです。第一志望だった業界は、3回生(3年生)のうちに応募しないとダメで、僕が見たときには後輩の募集ページが開いていました。

――確かに、経団連の規制がなくなったため、昨年ごろから早期募集、早期採用の傾向も強まっていますね。

長谷川さん:そうです、そうです。で、行きたい業界がいきなりなくなっちゃって。急いでいろんな会社に応募したんですけど、(書類選考で書くことが多い)志望動機が全然思いつかなくて……。適当に書いて、やっぱり見透かされるんですね。めちゃくちゃ落ちて。周りは内定してって、気づいたら夏ですよ。めちゃくちゃあせりました。

それから中小企業をかたっぱしから調べて、就職留年するか悩んで……。でも、こんなに採用が多いのに内定できなかった僕が、来年頑張ったところで内定できるわけがない。どんどん追い込まれて、友達に会うのも無理でした。就活の話が出るので。YouTubeで猫の動画見て、ネトフリ(Netflix)を見て、ひったすら逃避してました。

 

――そうですよね。長谷川さんは、院進学を選ばれましたが、いかがですか。

長谷川さん:親が学費を出してくれたから、たまたま院進できただけで。もし進学できてなかったら、冗談じゃなく死んでたと思います。もともと学問が好きなので、院でも楽しく研究できています。ただ、就活も全力です。あの思いは二度としたくないので。

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長谷川さんは院進学で身を守ったが、奨学金などの都合でそうはいかない家庭も多い。何より、受け入れる大学院も、勉強したいばかりではない学生を引き受けたいかどうか。楽観的な売り手市場と、就活戦線のギャップで苦境に追いやられる学生は少なくない。

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