「女が生きやすい社会は、男も生きやすい」フランスの元大臣の教え

彼女が私に語ったこと
髙崎 順子 プロフィール

もう一つの例として挙げられたのは、ワークライフバランス。「男は外で仕事、女は内で家事育児」の性別分業社会では、職場環境は仕事に邁進できる男性向けに整えられ、その私生活は考慮されていないことが多い。しかしそこに家庭運営を担ってきた女性が多く参画すれば、男性向けの環境は変えていかざるを得なくなる。

「日本では、私生活を仕事に合わせて伸縮させる、仕事最優先の長時間労働が一般的ですね。これでは仕事と家庭の両立は至難です。家庭運営を担ってきた女性が職場に参画するためには、長時間労働の慣習を変えていく必要があります。それはそのまま、『人生の中での仕事の在り方』を、社会全体で考えることに繋がるのです」

フランスでは実際、女性就業拡大の必要性から家庭と仕事の両立策が多く打たれ、その流れの中で、男女問わず良好なワークライフバランスを目指す週35時間労働制が成立した経緯がある。2000年に施行されて以来、賛否両論の議論が長く続いたが、19年後の今ではこの制度を前提とした働き方がすっかり定着した。

男女格差の是正が男性の生き方にも改善をもたらすこと、それが政策主導で実現することは、フランスでは実証済みの真理なのだ。

 

だから政治の場に、女性を

男女格差の是正により、女性だけではなく、男性にも生きやすい社会になる。そのために必要なことは、と問うた筆者に、ロシニョール氏は一気に口調を熱くした。

「政治のパリテ(男女同数)。そのために必要な法律をしかと整えること。これしかありません」

上院議員視察団として、氏は今年の4月、日本の参議院を訪れている。その際に印象的だったのが、日本の政治の強烈な男性主導ぶりだったそうだ。

2017年に開かれた「男女共同参画会議」の様子(内閣府のサイトより引用)

「女性問題や家族政策を担う政治家たちも、その多くが男性でした。私が『パリテ(政治参加の男女同数原則)実現には強制力のある法律が必要です』と伝えると、『いやいや、そこまでの法律は要りませんよ』と返された。彼らは『その問題も、男がうまいことやるから』と考えている様子でしたが、それは違います。

民主主義社会を動かすのは、国民の代表者です。ならば女性の権利を回復するには、女性を意思決定の代表に送るしかない。そして女性議員の数は、男性政治家の善意で増えるわけではありません。権利とその行使には、法律が必要なんです」