Photo by iStock

日本人は知らない、バービーが「日本のドール」と言える意外な理由

誕生から60年、今なお進化中

VAN、JUN、エドウイン……と聞いて、「おお、懐かしい!」と思う人も多いだろう。とりわけ1960年代から70年代を知る人にとって、ジャケット、ボタンダウンシャツ、チノパンというVANのアイビールックは一世を風靡した思い出のファッションである。

「男もおしゃれをしていいんだ!」という発想は、衝撃的だったに違いない。この時を境にして、さまざまなメンズファッションが海外から輸入され、また国内で独自に開発をされて登場していくことになる。

では、新しいメンズファッションは誰から学ぶのか?「時代を先取りしたファッションは、人形から学ぶんです」と言う人がいる。世界的なバービードールコレクターとして知られる関口泰宏さんである。

 

「バービーには、ケンというボーイフレンドがいます。私はまず、ケンのトラッドなファッションにハマりました。バービーもケンも、ファッションがとにかくすごい」

今年、バービードールはデビュー60周年を迎えた。では、これまでバービー&ケンはどのようなファッションヒストリーを歩んできたのだろうか。世界一のファッションドール、バービーをこよなく愛する関口さんにお話を伺った。

ケンのカッコよさに一目惚れ

「私は中学の頃からファッションに興味があったんです。私の青春時代である1960年代は、VANというブランドが大流行していました。それからJUN、エドウインがきて、Leeのジーンズを身に着けるようになりました」

VANは石津謙介が立ち上げたファッションブランドである。アメリカ東海岸の大学の男子フットボール連盟に参加している大学各校には、校舎に繁る蔦(アイビー)がシンボルになっていたことから、「アイビー・リーグ」の愛称で親しまれていた。彼らのファッションを参考に、アイビー・ファッションとして打ち出したのである。

VANのアイビーリーグモデルのジャケット/Photo by creativecommons

「ファッションのほかにも音楽にも夢中になり、ザ・クルセイダースとかマンハッタン・トランスファーが好きで、ちょうどクロスオーバーが盛んにおこなわれていたころでした。

映画ではスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』などを観ました。サイケデリックといった言葉が上等に聞こえた時代です。親が『勉強だけが教養じゃない』とすすめてくれて、上野の文化会館にカラヤンやキース・ジャレットを聴きに行ったりもしました。

大学4年生になると単位がだいたい取れてしまって、アルバイトをしながら自分の時間が持てるようになりました。そのころになると、ブリキのおもちゃを集めるようになって、鉄腕アトムとか鉄人28号などをさかんに探して歩くようになったんです。