アメリカの「日本は思いやり予算を4倍払え」要求は根本的におかしい

むしろ利益を得ているのは米軍なのだから
半田 滋 プロフィール

「米国依存」という日本の思い込み

三沢基地も米軍にとって欠かせない基地である。

実は米軍は2009年4月、三沢基地に配備したF16戦闘機部隊の全面撤退を日本政府に打診したことがある。このときは日本側の反対で存続させることが決まったが、今年11月6日、誤って重さ200kgを越える模擬爆弾を六ヶ所村の民有地に落下させたのがこの部隊だ。

部隊縮小に待ったをかけられた米軍は、三沢基地をグアム島に配備した滞空型無人機「グローバルホーク」のサブ基地として使い始めた。航空自衛隊が導入した新鋭のF35ステルス戦闘機と自衛隊版「グローバルホーク」は、米政府の指示により三沢基地に配備されることとなり、三沢基地は再び活気を取り戻そうとしている。

 

このように米政府は、日本の米軍基地を自国の世界戦略のために利用している。

米軍の日本駐留は「日本のため」ではなく、「米国のため」と喝破した外交官がいる。外務事務次官、駐米大使を務め、「ミスター外務省」と呼ばれた故・村田良平氏である。村田氏は「思いやり予算」について、「村田良平回想録」(2008年出版)の中でこう指摘している。

「思いやり予算の問題の根源は、日本政府の『安保上米国に依存している』との一方的な思い込みにより、その後無方針にずるずると増額してきたことにある。米国は日本の国土を利用させてもらっており、いわばその片手間に日本の防衛も手伝うというのが安保条約の真の姿である以上、日本が世界最高額の米軍経費を持たねばならない義務など本来ない。もはや『米国が守ってやる』といった米側の発想は日本は受けるべきではないのだ」

日米安保条約の本質を熟知し、国民に目を覚ましてもらいたいと願った老外交官の心の叫びは胸に迫るものがある。

ところで、在韓米軍駐留経費の5倍増を求められた韓国政府と米政府との初めての協議が19日、行われた。終日話し合う予定だったにもかかわらず、たった1時間で決裂した。当たり前である。5倍増などという理不尽な要求を韓国政府が飲めるはずがない。

翻って日本政府は、4倍増の要求に毅然として立ち向かえるだろうか。

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