アメリカの「日本は思いやり予算を4倍払え」要求は根本的におかしい

むしろ利益を得ているのは米軍なのだから
半田 滋 プロフィール

米軍の「踏み台」になってきた日本

そればかりではない。「思いやり予算」により、「米国に基地を置くよりも安上がりに米軍を維持できる」と言われる経済的な利益も失うことになる。

「ロナルド・レーガン」の艦載機のうち、固定翼機は山口県の岩国基地に、また回転翼機は神奈川県の厚木基地に配備されており、米軍が横須賀基地に空母配備を続ける限り、岩国、厚木両基地が日本政府に返還されることはない。

米政府の立場になれば、横須賀基地を活用することにより、インド洋や南シナ海に素早く空母を派遣できることになり、中国の習近平国家主席が打ち出した巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗できるのだから、米政府が横須賀基地を返還する可能性は、限りなくゼロに近いといえるだろう。

 

米軍基地の7割が集中する沖縄県に目を向けてみよう。

沖縄本島中部には、米空軍が東洋一の規模を誇る嘉手納基地がある。3500m級の滑走路が2本あり、F15戦闘機が54機、KC135空中給油機が15機、米海軍のP3C哨戒機6機など合計107機が配備されている。

沖縄、嘉手納、北谷の一市二町にまたがる広大な基地に米兵とその家族約1万4000人が住み、日本人従業員約4000人が働いている。基地には小中高校のほか、図書館、教会、銀行、レストランがあり、芝生が整えられた基地内の風景は、まるで米国の郊外にある町のように見える。

嘉手納基地周辺(Photo by gettyimages)

湾岸戦争後はイラクに対する警戒飛行「サザン・ウォッチ作戦」のため、基地所属のF15が青森県の三沢基地所属のF16戦闘機と交互に中東へ派遣された。その後のアフガニスタン攻撃、イラク戦争へも嘉手納基地のF15は派遣されている。

2014年8月には中国の潜水艦基地がある海南島付近の上空で、米海軍のP8哨戒機が中国軍の戦闘機から異常接近される事案が起きた。この事案により、米軍機は嘉手納基地から遥か2000kmも離れた海南島近くまで出向いていることが判明した。

これらの活動からわかる通り、米軍は嘉手納基地を踏み台にして、南シナ海から中東にまで歩を延ばしている。仮に米本土から派遣するとすれば、どれほどの燃料と時間の無駄遣いになるだろうか。

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