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アメリカの「日本は思いやり予算を4倍払え」要求は根本的におかしい

むしろ利益を得ているのは米軍なのだから

米政府が日本政府に対して、在日米軍駐留経費負担「思いやり予算」を現行の4倍に増やすよう求めていることがわかった。米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」が報じた。

「思いやり予算」のうち、基地従業員のボーナス・給料や米軍関連施設の光熱水料などを日本政府が負担する特別協定の改定を2021年3月に控え、年明けにも日米交渉が始まるのを前に米政府が先手を打った形だ。

すでに米軍駐留経費のうち、日本政府は防衛省試算で約86%を負担しており、仮に4倍増が実現すると、駐留に必要な経費を大幅に上回ることになる。言葉は悪いが、「米国は『みかじめ料』を要求している」と考えるほかない。

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来年11月に行われる米大統領選へ向けた、トランプ大統領のアピール策のひとつとはいえ、米政府は韓国政府に対しては在韓米軍駐留経費の5倍増を求めており、本気度がうかがえる。日本政府にとっても軽視できる問題ではないのだ。

 

「安保条約破棄」からの方向転換

「フォーリン・ポリシー」によると、トランプ政権は在日米軍経費を年80億ドル(約8700億円)に増やすよう求めている。2019年度の在日米軍駐留経費は1974億円だから、正確には4倍増ではなく、4・4倍増にもなる。

これまで安倍晋三政権は米国製武器の大量購入を迫るトランプ氏の要求に応え、イージス・アショアの導入やF35戦闘機を105機輸入する、といった武器の「爆買い」を進めてきた。これらの合計額は2兆円を超える。

今回の非常識なまでの「思いやり予算」の引き上げ要求は、唯々諾々とトランプ氏の要求を受け入れてきた安倍政権が「足元を見られた」といえる。

トランプ氏は一時、日米安全保障条約について「日本が攻撃されたら米国はすべてを犠牲にして戦うが、われわれが攻撃されても日本は助ける必要がない」と述べ、不公平を理由に条約破棄にまで言及していた。

「安保条約破棄」が一転して、「米軍駐留経費の4倍増」へと方向転換したのは、側近らの説得により、「米軍を日本に駐留させた方が米国の利益になる」と理解できたからではないだろうか。