中国・習近平「ウイグル人に容赦するな」極秘文書流出、衝撃の全貌

「弾圧マニュアル」も作られていた
奥山 真司 プロフィール

家族が「強制収容」に気づいたら…

記事はまず、新疆ウイグル自治区から中国国内の別の地域の大学や、海外留学などに出ている学生が、休暇期間に自宅に帰り、家族の誰かが強制収容所に収容されていることに気づくというエピソードから始まる。

そして、そのような「残された家族」たちからの怒りの問いかけに、同地区政府がどのように対応すべきかについて、マニュアルが存在することが記される。

さらにはそのマニュアルが、北京政府が過去3年間に同地区に設けてきた「職業訓練所」と称する強制収容所や、北京政府が唱える「対テロ作戦」の実態を暴く、中国共産党の歴史でも外部に漏洩することが非常に稀な内部文書の一部であることが明らかにされるのだ。

記事では、内部文書が暴露した「衝撃の事実」として、4つの項目が挙げられている。

(1)習近平は、2014年に政情不安にあった新疆ウイグル自治区を訪問して以降、「容赦ない」統治方針に転換したこと。

(2)外国でのテロ事件の頻発や、米国のアフガニスタンからの兵力撤退によって、北京の指導層がイスラム教徒の脅威を懸念し、徹底弾圧に踏み切ったこと。

(3)国際的にもニュースになっている同地区の強制収容所の建設は、2016年8月に同地区のトップとなった陳全国(Chen Quanguo)が、習近平が内部向けに行った演説を背景として正当化することにより、急激に進められたこと。

(4)ところがこの弾圧は、ウイグル人と漢族の民族対立の激化や、同地区の経済成長の鈍化を恐れた現地の共産党幹部たちから抵抗に遭っており、中には収容所から「囚人」を7000人も逃したことが発覚して処罰された者もいたこと。

いずれも注目すべきことであるが、私は以下の5つの論点が国際的な戦略状況に大きな示唆や影響をもっていると感じる。それぞれ順に説明していこう。

 

「むしろ共産党に感謝せよ」

この文書においてまず注目すべきは、ウイグル人などイスラム系少数民族に対する弾圧の、あからさまかつ具体的な手段が紹介されていることだ。

収容されたあとに残された家族への対応マニュアルについては、すでに触れた通りだが、その理由を問いかけてくる家族に対しては、

「あなたの家族は収容されたが、いずれあなたも政府のこの措置に賛成し、支持するようになるはずだ」

「その家族本人だけでなく、あなた自身にも良い結果をもたらすものだ」

「あなたの家族は無料で高等教育を受けているのだ。むしろ共産党に感謝せよ」

といった、自由主義社会の価値基準では信じられないような受け答えが、「模範解答」として示されている。

新疆ウイグル自治区最大の都市ウルムチ(Photo by gettyimages)

また、新疆ウイグル自治区の住民の中でも特に頭脳明晰で優秀な若者は、伝統的に共産党の指示によって中国国内の別の大学などに送られ、後に「ウイグル人のエリート」として同自治区の共産党に忠実な公務員や教員になることを期待されていることや、こうしたエリートたちが、近年はSNSなどを含めて厳しい監視対象下に置かれていることが文書から判明している。

たとえば、彼らエリートが「WeChatやWeiboをはじめとするSNSに間違った意見を書き込むこと」については、彼らの中国国内における社会的つながりの広さゆえに「その意見をつぶすことが難しくなる」と北京政府が危惧していることが記されている。

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