ロックやポップスは意外と保守的!? 「和音」が心に響くワケ

「ユーミン」と童謡の深〜い関係とは?
フランソワ・デュボワ プロフィール

それは、耳に残りやすい構成をしているから、なのです。あるいは、歌いやすいから、覚えやすいから、踊りやすいから、と言い換えてもいいでしょう。

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音楽を聞いて思わず歌詞を口ずさむ、あるいは体が動いてしまう、という経験は誰にでもあると思いますが、そのような曲はたいてい、歌いやすくて覚えやすい、つまり、耳に残りやすい音の構成をしています。

これは、音楽のとても重要な側面であり、たとえ専門的な勉強をしていなくても、特別の素養がなくても、耳でコピーしてリズムやメロディ、歌詞を再現できる、覚えられるというのは、絵画や彫刻などの一定の訓練が必要な他の芸術とは大きく異なる特徴です。

ロックに関しては一概に歌いやすいとはいいにくい楽曲もありますが、大衆向けのポップスでは、その傾向がより顕著に出ています。かつてレディー・ガガがインタビューに応えて、「いい曲というのは、踊りやすくて、覚えやすいものを指すと考えているわ」と明言していました。

音楽の特徴を的確にとらえた、ポップスの女王ならではの言葉だと思います。

ユーミンを聞くと「落ち着く」理由

日本の楽曲でいえば、民謡や演歌、あるいは学校で習う童謡などが、歌いやすくて覚えやすいものの代表でしょう。

「さくらさくら」「うさぎ」「うれしいひなまつり」などは、ほとんどの人が歌えるのではないかと思います。これらの曲には、日本ならではの音楽の伝統に基づいた「耳に残りやすい音の構成」がなされているのですが、ご存じでしょうか?

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それは、「ヨナ抜き短音階」という音階が用いられていることです。「ヨナ」というのは、明治時代に「ドレミファソラシ」のことを「ヒフミヨイムナ」と、1〜7を意味する和名でよんでいたことに由来します。

「ヨナ抜き」なので、ヨとナにあたる音を抜く、つまり、音階の4つ目と7つ目の音、長音階ではファとシ、短音階ではレとソを抜いた音階で曲を作ります。先の童謡に加え、たとえば「東京音頭」なども、ヨナ抜き短音階で構成されています。

じつは、現代のポップスにもヨナ抜き短音階を使っている楽曲があり、松任谷由実の「春よ、来い」がそうです。どこか懐かしい郷愁をそそるあのメロディには、日本人が幼少期から慣れ親しんでいる童謡と同じ響きが含まれているわけですね。

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