映画『すみっコぐらし』異例の大ヒットのウラにある「3つの誤解」

“子供向け”と侮る大人たちへ
井中 カエル プロフィール

奥深い子供向けアニメ映画の世界

3つ目の誤解は子供向けアニメ映画に対する、大人たちの視線だろう。本作が素晴らしい作品であることは疑いようがないが、では子供向けアニメ映画として異例の作品なのか? と問われると、そんなことはない。

むしろ本作のようなテーマ性やメッセージ性を内包した子供向けアニメ映画は他にもある。筆者の贔屓目もあるだろうが、暗喩の使い方やメッセージ性の強さなどを鑑みると、大人向けの実写映画よりも子供向けアニメ映画のほうが平均的にレベルが高いようにも思われる。

(C)2019 日本すみっコぐらし協会映画部

本作を語る際に日本でも大ヒットを記録している話題作『ジョーカー』を挙げる人もいる。同作では「社会からも孤立している存在にどう接するのか?」といったテーマを指しているように思われるが、こうしたテーマはけっして目新しいものではない。

実際、『スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いを込めて』や『若おかみは小学生』などでは、「孤独な環境にいる相手への接し方」をテーマに扱っている。誰も仲間外れにしない、孤独な存在に優しく接するというのは子供向けアニメ映画全体に共通するテーマだ

 

今作のヒットはキャラクターコンテンツ大国である日本にとって大きな意味をもたらすのではないだろうか。2019年は『鬼滅の刃』がアニメ化に成功し、『ONE PIECE』が11年続けたコミックス年間累計売上ランキング1位の座を奪取する見通しだ。映像コンテンツの成功は作品の知名度や人気を飛躍的に挙げることはよく知られているが、他のキャラクターコンテンツも後に続けとなるかもしれない。

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