映画『すみっコぐらし』異例の大ヒットのウラにある「3つの誤解」

“子供向け”と侮る大人たちへ
井中 カエル プロフィール

一方で敵となるオオカミは赤ずきんを食べる存在であるが、とんかつたちはむしろ食べられたいのですすんで食べられにいく。その様子に恐れを抱いたオオカミは逃げ出し、それをとんかつたちが追いかけるという描写がある。作中ではコメディとして描写になるが、赤ずきんも食べてしまうオオカミにすら、普通の食べ物なのに食べてもらえないとんかつ達の姿に悲壮感がある

また、物語の転換点では絵本という世界観を活かした真実が明らかとなっており、落書きから生まれたキャラクターだからこそできる物語となっているほか、子供の創意工夫の意欲も育てる教育的な映画の側面もある。

 

ヒットの陰に潜む「3つの誤解」

ただ、本作のヒットの陰には「3つの誤解」があったように筆者は感じられる。

1つ目は、まるで『すみっコぐらし』が急に人気の出たコンテンツのように扱われているということだ。近年はゆるキャラなどのご当地キャラクターも定着し、キャラクター産業は2017年で2兆4千億円規模であり、『すみっコぐらし』もその例外ではなく、市場規模で言えば2019年は200億円に達している。スマートフォンアプリゲームなど各種グッズも発売されており、今回が初の映像化とあって楽しみにしていたファンも多いのではないだろうか。

(C)2019 日本すみっコぐらし協会映画部

これは結果論になるが、むしろ114館という公開規模が小さすぎたのではないだろうか。また、公開時期もファミリー向けアニメ映画は3月から5月ごろのGW付近や8月の夏休みシーズンに多いものの、秋は『プリキュア』シリーズくらいしかなく、ちょうどそこにハマったことも大ヒットの要因の1つといえるだろう。
 
2つ目の誤解はTwitterの口コミだ。公開初週には『#逆詐欺映画』などがトレンド入りし、大きな話題となったが、中には作品の本質とかけ離れたツイートが飛び交った印象がある。

Twitterの性質上、過度に煽るような強い言葉がよりリツイートされ、拡散される傾向にあるが、本作は特にそれが多かった印象がある。皮肉ながらそれが大きな宣伝効果となり映画を見にいった、あるいは映画の存在を知った観客も多かったのではないだろうか。

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