2019.11.22
# 米国

米FRB、利下げは「成功」したのか

2020年の先に起きること
唐鎌 大輔 プロフィール

株式市場の「虜(とりこ)」

振り返ってみれば「4回利上げして3回利下げする」という急旋回の根拠は株安だった。

 

FRBの利上げとこれに付随するオーバーキル懸念が浮上し始めたのは、米10年金利が2018年2月に3.0%の大台を超え、同10月に3.2%の大台に乗せたことが契機だった。双方のタイミングでNYダウ平均株価がまとまった幅で調整する場面が増えたのである。

しかし、その背後でも小売売上高や鉱工業生産、雇用・賃金周りの指標が悪化したわけではなかった。上述したように、株価に代表される資産価格が家計部門の挙動に大いに影響するのは確かだとしても、正常化プロセスの妥当性が株価の動揺と共に再検討されたことは一定の事実である。

〔photo〕gettyimages

実体経済の足腰がしっかりしていても、株式市場が崩れ始めればそれを無視して引き締めを続けるのは難しく、「予防的緩和」という大義の下で金融緩和が行われるということが過去1年で分かったことだろう。表現を選ばずに言えば、金融政策が株式市場の「虜(とりこ)」になるような構図が改めて強調されたように感じられる。

要するに、「利下げ」の要件が景気悪化ではなく株価下落になったということでもある。

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