2019.11.22
# 米国

米FRB、利下げは「成功」したのか

2020年の先に起きること
唐鎌 大輔 プロフィール

手札を奪われるFRB

「次の一手」として利上げ復帰を見込む向きは殆どおらず、「如何にして追加利下げを回避するか」という市場の思惑が強そうなことに鑑みれば、次の利下げは175bpsからスタートすることになるのだろうか。

先進国で最も手札があると思われているFRBも徐々に、しかし確実にその手札を奪われているという事実には目を向けておきたいところである。

目先の株高に目を奪われると重要な事実を見失ってしまう。

 

2018~19年のFRBの政策運営は「4回利上げして3回利下げする」という金利操作に終始した。

ちょうど1年前の今頃に威勢を放っていた正常化プロセスの正当性はかなり怪しいものだったと言わざるを得ない。金融市場は目先の状況、とりわけ株価の仕上がりに左右されやすい。史上最高値を断続的に更新している現状のムードを根拠に「予防的緩和は奏功した」と考える向きは今後ますます多くなるだろうし、当然、FRBもそのような見方に乗る可能性が高い。

実際、家計金融資産の30%以上が株式である米国の家計部門は株価が上がれば資産効果を通じて消費・投資の改善が期待できる。日本とは違い株高が実体経済回復の一因となる経路は確かに認められるものだ。

「緩和→金利低下→株高→消費・投資増加→景気回復」という好循環は米経済の持つ「強み」でもあるが、裏を返せば、株価が下落すれば実体経済への波及を懸念しなくてはならない。それゆえ、今次利上げ局面のFRBにとって非常に厄介な「弱み」となったことは読者の皆様も知るところかと思われる。

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