2019.11.26
# コンプライアンス

マクドナルドとインテル、トップはなぜ「社内恋愛」で解任されたのか

「社内恋愛の自由」は守られるべきか
大原 浩 プロフィール

米国の過剰コンプライアンスは訴訟社会の反映

マクドナルドが、ファミリー層を相手にするビジネスをしていることが今回の判断に影響しているかもしれない。同社の基本戦略は、家族連れで来店する子供たちに、ハンバーガーの味を覚えさせ、将来の「優良顧客」に育てるというものだが、主導権を握るのはお母さんだ。

そのお母さん達は「男女関係のスキャンダル」に敏感ということも、今回の決定に影響しているであろう。

また、マクドナルドと言えば思い出すのが「自分でコーヒーをこぼしてやけどした客が巨額の賠償金を求めて訴えた事件」である。かなり昔のことで、訴えた男が敗訴したようだが、「米国という訴訟社会」を象徴する出来事として、日本の新聞などでも大きく報道された。

 

社内規定がある限り、その規定を守らないことには大きなリスクがある。

「イースターブルック氏が有能な経営者だから、今回は大目に見よう」などという判断をしたら、万が一訴えられた場合、窮地に陥る。

裁判というのは日本でも米国でも「屁理屈王決定戦」だから、経営者の能力などという抽象的な基準で勝つのは難しい。結局「コンプライアンス」という名前で「重箱の隅をつつく方が安全」なのである。そのため、今回のマクドナルドの判断は「理屈は正しいが、経営としては間違っている」ということになる可能性もあるわけだ。

また、日本では「取締役」と「執行役」がそれほどはっきりとは分離されず「代表取締役社長」などという奇妙な肩書を持つ人々も多いが、米国流では「取締役」の役割は「社長などの執行役」を取り締まることにある。

だから、取締役会が「企業の発展よりもコンプライアンス」を重視するのは、その役割としてもある意味当然だが、「社外取締役」のような重複した取り締まり機関をつくり、無駄な給与を払っていることが、企業の発展に役立っているとは到底思えない。社内に「責任逃れ」の風潮を蔓延させるだけだ。

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