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認知症のさらなる悪化を招く「やってはいけない」言い方、接し方

「何もできない」は大きな誤解

「認知症になったら介護が大変だ!」

「認知症の人の介護はつらいよ~」

こんな話をよく聞く。実際に見ているとつらそうなのはよくわかるし、介護に苦労が多いのは事実だろう。でも……。

介護というのは、認知症の人が100人いれば100通りあるといわれていて、認知症の人によってみんな違う。だから、これが間違ってるとか正しいとかは単純に言えないのだが、もしかしたら私たちは認知症のことをよく知らずに介護することで、余計な苦労を背負ってるのではないだろうか。

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「介護が大変だ!」と言う場合、それぞれ個人的な事情を除けば2つの理由がある。

ひとつは、認知症になった時、介護する家族や当事者をサポートする制度がいくつかあるのだが、これが行政側の怠慢で知らしめないのか、あるいは家族が知ろうとしないのか、結構知られていないことが多い。

 

もうひとつは、介護する家族と認知症当事者の思いにズレがある事である。

それぞれについて、実際に家族が困るケースを1例ずつ紹介したい。まずは前者の介護にまつわる制度だが、あまり知られてケースをとりあげる。

障害年金のカラクリ

認知症になった時、知らなかったばっかりに損するというケースは、高齢者よりも若年性認知症の人の方が圧倒的に多い。高齢者と違って、若年性の場合は住宅ローンの問題など生活に直結する問題が多いからだろう。

たとえば退職前に認知症になったとする。一般的に、認知症と診断されると約8割の人が免職になっている。免職になって直面するのは経済的な問題だ。失業保険もあるが、一時しのぎはできても長期には役に立たない。

ハローワークに行っても、認知症の人に職が見つかる可能性はゼロに近いのが現実だ。障害者法定雇用率というのがあって、一定規模の企業は障害者を雇用(従業員の2.2%)する義務があり、この障害者に認知症の人も含まれているのに、雇われるのは身体障碍者がほとんどなのだ。

認知症になったら障害年金をもらえることも知らない方がいて驚くが、よく聞くのは、認知症と診断されて解雇になるとハローワークへ仕事を探しに行き、そこで障害年金のことを知って慌てて申請するケースである。