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大学共通テスト、日本人はまだ知らない「国語・記述式」の根本的問題

センター試験より「劣化」する
原田 広幸 プロフィール

なぜ「記述式」導入を急ぐのか

2020年度から実施される共通テストに「記述式」の問題が導入される背景には、新しい学習指導要領に示された問題意識がある。

「学習指導要領」とは、学校教育法に基づき、およそ10年ごとに改定される小中高校等のカリキュラムを決める基準で、各教科の指導内容の指針となる。

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最新のものは、2018年に公示されたが、そこには「思考力、判断力、表現力等を育成する」という目標が明示されている。国語やその他の教科で記述式問題を問うのは、この目標を達成するため、というのが理由である。

「思考力、判断力、表現力」を試すには、現行の大学入試ではあまりにも不備が多い。全問マーク式のセンター試験では、決してこれらの能力を測れない。また、各大学の個別試験でも、記述式の問題が少なすぎる。

これではダメだ、ということで、センター試験を廃止し、記述式問題を導入した新しい共通テストを実施する、ということになったわけだ。

 

しかも、新しい学習指導要領が高校カリキュラムに反映されるのに先んじて、大急ぎで、共通テストの国語と数学で記述式が導入されることになったのだ。そして、採点は民間営利企業のベネッセの子会社が一手に担うことに決まったのは、すでに前回の記事(『英語は氷山の一角、新共通テストの「国語」にも重大問題があった!』)で説明したとおりである。

なぜ、これほどの拙速を犯してまで、共通テストへの記述式導入を急いだのか、その理由と経緯の解明はとりあえずおくとするが、政府がその実施不可能性を理解して2020年度実施を見送らないかぎり、無理に実施して大混乱をきたすことは必至である。

前回の記事では、50万人分の採点が不可能であることなど、主に制度面での問題点を論じた。しかし、採点の方法など、仕組みの問題が仮にクリアにされても、共通テストの国語問題は中止すべきである。それはなぜか。