「AIは人工知能でない」15歳の天才が語った「驚愕の未来像」とは

5歳でコードを書き、9歳でアプリ作成

「400年前、宇宙は地球を中心として回っているという『天動説』が常識とされていました。しかし、その後世界は太陽を中心として回っているという『地動説』が生まれた。

もちろん、コンピューターで天動説は間違いだ、と指摘することは可能でしょう。しかし、人間のクリエイティビティの結晶である地動説というアイディアを出すことは、コンピューターを使っていくら機械学習したところで不可能です」

アリストテレスも天動説を主張していた Photo by Getty Images
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「スティーブン・ホーキング氏、イーロン・マスク氏などが『AIは悪魔だ』と、AIの発展に警鐘を鳴らしています。しかし、彼らは機械学習という言葉を使いません人間のクリエイティビティを再現できない以上、AIは存在しないんです」

タンメイが携わった、モーツァルトの音楽を機械学習で再現するプロジェクト「プロジェクト モーツァルト」では、コンピューターはパターンを理解して音楽を生成するのに成功はしたが、傑作とはほど遠かったという。

この経験からタンメイは、AIを「Artificial Intelligence」ではなく、人間の知性を拡張する「Augmented Intelligence」すなわち「拡張知能」と呼ぶべきだ、と語った。

タンメイが起こす「イノベーション」

「想像してみてください。周りに人がいるのにまったく動けない、孤立した状況です。人間には周りと会話したいという欲求があります。それを阻害されると、人間はメンタルを大きく損ないます」

タンメイが取り組む「Project Cognitive」は、生まれながらにコミュニケーションが取れない人が、人工的にコミュニケーションを取れるようにするプロジェクトだ。

 

レット症候群を患う「ブー」という名の女性がいる。レット症候群とは、神経系の病気で、発症すると発話が著しく困難となる。周囲の状況は認知できるにもかかわらず反応を返せない、タンメイが言う「まったく孤立した状況」となる。

そこでタンメイのチームは、彼女の母親に頼った。唯一母親だけがブーの身振りなどから、彼女の言わんとすることを理解できたからだ。タンメイのチームは、母親の「通訳」をもとに、ブーの身振りなどから教師データを作成し、データを集め、彼女の「言葉」を翻訳できるようにした。

興味深いプロジェクトはまだある。

たとえば「認証」の方法は、古くはパスワード、近年では指紋認証、顔認証、虹彩認証など、さまざまな方式が開発されてきた。だが、これらの認証方法には脆弱性があった。

「生体認証は昔から使われていました。たとえば指紋認証は偽証されやすく、なりすましがしやすい。くわえて、すべての指紋認証に通るマスターキーも開発されてしまったことから、セキュリティ的に安全とは言えません。

顔認証は一卵性双生児に弱く、写真やビデオでも騙せてしまいます。虹彩認証もすばらしいですが、目でカメラを見なければいけないことから、これもセキュリティ的に頑強とは言えません」

こうした課題があるなか、タンメイのチームが開発したのが「Heart ID(心音認証)」だ。遺伝や環境などの要因により、心音はひとりひとりにユニークな情報だ。また、シンプルなハードウェアで取り回しが可能なことも開発に至った決め手だったという。

タンメイは、心音をディープラーニングで学習させ、認証システムをトレーニングした。これによって、新規登録からこれまでの心音データと照らし合わせ、同じパターンかどうかを確認する。

デモでは、レオンとアレックスという2人の人物の心音を識別できるかが試された。最初にレオンの心音をシステムに登録し、レオンを認証できるか試し、これは成功した。

次に、登録されていないアレックスの心音を認証できるか試したところ、「この人物はレオンではありません」と表示された。つまり、コンピューターが2人の人物の違いを、心音を聴くことによって識別することに成功したのだ。

「これらは私が取り組んでいるプロジェクトの、ほんの一部であると同時に、具体的に『実践』されているイノベーションの例でもあります。

人間は地球上で最初にイノベーションを起こした存在ではありませんが、『イノベーションとは何か』を再定義しました。イノベーションがより良く、大きく、速くなっていくことを信じています」

タンメイ・バクシ
5歳からコードを書き、9歳でiOSの時刻表アプリを開発。そのときの経験をもとにプログラミング言語「Swift」についての本も出版。
YouTubeチャンネル「Tanmay Teaches」を立ち上げ、アプリ開発、数学から科学に至るまでの情報を発信し、現在はIBMチャンピオン(IBMのソリューションやソフトウェアに対し、年間を通してそのテクニカル・コミュニティーに優れた貢献をしてきた支持者)として世界中を飛び回る生活を送る。