国際宇宙ステーション(2011年)〔PHOTO〕Gettyimages

宇宙に行った日本人たちが、地球を見て抱いた「言葉にならない思い」

彼らはそこで、何を見たのか

「これほどすごいものを作るには、奇跡があるに違いない」

宇宙飛行士の油井亀美也(ゆい・きみや)氏は、宇宙ステーションから地球の姿を見てこう感じたという。特定の信仰を持たない彼をしてこう言わしめる「宇宙体験」とは、どんなものだったのか。宇宙に行って帰ってきた12名の日本人の鮮烈な証言を、『宇宙から帰ってきた日本人』を上梓したノンフィクション作家の稲泉連氏が綴る。

 

宇宙開発の「新しい段階」

2019年はアポロ11号による人類初の月面着陸から、ちょうど50年目の節目となる年だった。

「これは人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」

1969年7月20日――船長であるニール・アームストロングが第一声を発し、続いてバズ・オズドリンが船外に出る。その二人が約2時間半にわたって船外活動を行った日だ。

アポロ計画の後、アメリカは旧ソ連との宇宙開競争のなかで、スカイラブ計画やスペースシャトル計画を続けた。そして、1984年にレーガン大統領(当時)が「一般教書演説」で提唱したのが、「宇宙基地フリーダム」という後の国際宇宙ステーション(ISS)計画だった。

NASAの他に日本、カナダ、ESA(欧州宇宙機関)が加わったこの計画には、1993年にソ連崩壊後のロシアも参加。1998年におけるロシア製の基本機能モジュール「ザーリャ」(軌道上での各種制御や通信、電力供給などの機能を備えたもの)の打ち上げ以降、日本の「きぼう」を含む各モジュールがISSにつなげられてきた。

こうした有人宇宙開発の歴史のなかで、日本人が初めて宇宙に行ったのは1990年のことだ。TBSの社員だった秋山豊寛氏が「宇宙特派員」として、ロシアの宇宙ステーション「ミール」に5日間の滞在をしたのである。以来、これまでにJAXAの宇宙飛行士11名、合わせて12名が宇宙体験をしてきた。

今回、私はこの12名の宇宙飛行士全員にインタビューをした上で、その証言を『宇宙から帰ってきた日本人』としてまとめた。