ソフトバンクはなぜ「金食い虫」WeWorkへの投資をやめないのか?

割高でもベンチャー投資をする事情
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

 「大バカ理論」

VCが割高でもベンチャーを買うもう一つの理由として考えられるのは、株式上場にさえ漕ぎつければ、それ以上の値段で買ってくれる「もっとアホな奴」がいるだろうという期待があることだ。
 
これには「大バカ理論(The Greater Fool Theory, TGFT)」という名前までついている。日本の不動産バブルやITバブル、そしてビットコインでも同じだが、自分が高値づかみをした「阿呆」だったとしても、それをもっと高値で買ってくれる「大阿呆」がいる限りは大丈夫という「理論(?)」が市場にまかり通るのだ。

 

 
VCをはじめとするプライベートエクイティー(私募ファンド、PE)は「買う前から出口を探す」と揶揄されるくらい、投資の出口戦略には注意を払う。これまでは、高値で買っても株式上場でさらに値が上がってエグジット出来たからそれで良かった。

しかし、配車サービスのリフトやウーバー、ビジネスチャットツールのスラックなどが夏頃から次々と上場後に株価失墜を起こしたことで、出口が良く見えなくなってしまった。

Photo by Gettyimages

「もっと阿呆な奴に売るつもりが、気がついたら自分がその阿呆になっていた」という落とし穴には気を付けなくてはならない。経済歴史家のエドワード・チャンセラーが「バブルの歴史ー最後に来た者は悪魔の餌食(Devil takes the hindmost)」の中で、株式市場最初のバブルである18世紀英国の「南海泡沫事件」に触れて警告した言葉だ。
 
「長期投資とは失敗した短期投資である」という辛口の投資ジョークもある。エグジット出来なくて「塩漬け」になるケースだ。チェックインはいつでも出来るがチェックアウトは決してできない「ホテルカリフォルニア」(イーグルス)を自嘲的に口ずさむ運用者もいる。

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