年収1200万円夫婦が、4000万円の住宅ローンで「地獄を見た」ワケ

失敗に学ぶ、正しい借り方・返し方
平井 美穂 プロフィール

借りる時に「完済計画」を

金融機関は、住宅ローンの完済時年齢を概ね80歳と定めており、45歳までは最長の35年ローンを組めるようになっています。実際、多くの人が最長期間で借り入れをしますが、定年退職時のローン残高を確認している人はほとんどいません。

目先の返済に気をとられ、10年後、20年後、さらにその先の定年退職後の返済についてまで考えが及ばないのが普通でしょう。最初は返済期間を長く設定して、後から繰り上げ返済をすればいいと漠然と考えている人も多いものです。

しかし実際には、住宅購入後は教育費や生活費などの支出がますます増え、なかなか計画通りに繰り上げ返済できません。その結果、定年後も返済が続いてしまった場合、一般的には年金収入だけでローンの返済を続けるのは難しく、Fさんのような事態に陥るケースもあるのです。

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総務省の家計調査によると、老後は年金収入だけでは生活費が追いつかず、毎月6万円を貯蓄から切り崩しているという平均データがあります。65歳から90歳まで25年間切り崩すと1800万円の貯蓄が必要になる計算です。年金でローンの返済ができないばかりか、老後の生活費を考えると退職金も住宅ローンの完済資金に充てられないことになります。

こうした現実をきちんと踏まえ、定年退職時には老後資金とは別にローンの完済資金を確保できるのかどうか、きちんとシミュレーションをしてから借りるようにしてください。万一、退職金が期待できず、今後計画的に貯蓄していくのも難しいと予測される場合は、定年までの返済期間に設定しておく方が無難です。