わが国の薬物状況
相次ぐ有名人の薬物での逮捕によって、違法薬物の蔓延に大きな不安や危機感を抱く人は多いかもしれない。
しかし、依然としてわが国は世界的に見ても、薬物乱用がきわめて少ない国の1つであることは事実である。
これは、日本人の遵法的な国民性によるところが一番大きいのであろう。さらに、日本が島国であり、地理的に孤立しているという状況も大きな原因の1つであると考えられる。水際での取り締まりなど、税関や警察の優秀さによるところも大きい。
したがって、油断は禁物であるが、現状を見て必要以上に危機感や不安を煽ることのないようメディアには釘を刺しておきたい。
また、よく言われるように「芸能人に薬物が蔓延している」というのも根拠がない思い込みである。一般人が逮捕されても特に報道されることはないが、芸能人の場合大々的に報道されるというだけの話である。
薬物問題とメディア
報道に関していえば、田代さんのときも連行の様子が繰り返しテレビで流された。
沢尻さんの場合は、おそらく保釈になると思われるので、警察署から保釈されるときに、テレビカメラの前で頭を下げ、「お詫びセレモニー」が行われるのであろう。
ただでさえ、バッシングの標的になりやすい彼女のことであるから、世間の厳しい目が注がれることは間違いない。
田代さんの逮捕のとき、私は出演した報道番組のなかで、「さらしもののように連行場面をテレビで流すのはやめるべきだ」と主張した。これは本人の尊厳をいたずらに貶めるものでしかないからだ。
そして、今回もう1つ主張したいのは、釈放時の「お詫びセレモニー」もやめるべきだということである。これも単なる興味本位のさらしものでしかなく、何の意味もないし、メディアがこぞって石を投げるようなものでしかないからだ。