達成不可能な「来期業績」…
そして、こういった環境下で注目すべきは、今期ではなく「来期」の業績である。
ただでさえ不確定要素を織り込んで強気に過ぎる状態の今期を大幅に上回る見通しで、特に景気敏感業種は10%を超える増益予想となっている。
図:景気敏感業種の今期、来期コンセンサス増益率(純利益)
これは、ほぼ完全に米中貿易摩擦の解決を先取りで織り込まないかぎり達成不可能だと見ていいだろう。
そして、この楽観的な見通しを信じてか、自動車、機械、電気機器などの製造業の株価は市場を堅調にアウトパフォームしている。無論、足元で円安が進行したことも大きいが、それにしても期先のリスクに対して無頓着過ぎはしないだろうか。
そしてダメ押しとして、この環境下で低PER銘柄が特に強く買われ始めている。
図:TOPIX500銘柄のPER投資効果
低PER株は、景気の見通しが不安定な局面で予想されている利益に対してディスカウントされる銘柄であり、それが強く上昇しているということは、個別銘柄にもこの楽観論が浸透しているということである。
これまでの議論を踏まえれば、近い将来に一旦はこういった銘柄に対する戻り売りが発生する可能性が高いと考えるべきで、過度な期待の織り込まれていないディフェンシブ銘柄に退避しておいた方が無難かもしれない。