# 美術

これは何かの冗談ですか? 日本の「アート教育」現場での驚きの実態

黒は色じゃないって、ウソでしょ
松井 守男 プロフィール

フランス人は人と同じ絵は絶対描かない

学校で教えてみて感じたことをもう一つ。絵を描かせると、日本の子供は周囲の子供の絵を見ながら描く。フランスだったら描くときに絶対に他人には見せない。日本人は人と違う絵を描くのは恥ずかしいことだと思っているのかな。フランス人は人と同じ絵は絶対に描かないからね。

思い出すことがあります。僕が子供のころのことです。僕は子供のころから、絵が上手でした。何度も賞を取ったことがあります。先生も、僕の絵をみんなの手本にしていたほどです。

 

あるとき、空を描くとき、斜めに線を引いてみた。そしたら、先生は「それは違う。直せ」っていうのです。それが日本の教育なのです。空が斜めだっていいじゃないですか。

悪意はないのでしょうが、結果として才能を摘み取る。子供の夢を壊す。それが日本の教育なのです。残念なことに、今も昔も変わらないようです。

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最近のことです。ある神社の境内で社殿を描いたときのことです。社殿の放つ光を見えたまま描いていたら、それを見ていた日本人が声を掛けてきました。

「どうして全部描かないのですか?」

その人は、ある美大で絵を勉強しているそうです。僕が建物の細部、風景のすべてを描かないのが不満なのだといいます。

僕は建築家でも写真家でもありません。神社が放つ神秘の光を描けば、それでいいのです。瓦の一枚一枚、柱の一本一本を描く必要なんてないのです。