# 美術

これは何かの冗談ですか? 日本の「アート教育」現場での驚きの実態

黒は色じゃないって、ウソでしょ
松井 守男 プロフィール

パリの有力画廊「ベルネーム・ジュンヌ」では僕の絵をコレクションしています。この画廊は、ゴーギャンやルノワール、マティスの最大のコレクターといわれています。それゆえ世界中の美術館に顔が利きます。だからお願いしたことがあります。

「僕の絵がルノワールやマティスと一緒に保管されていることを広く公にして」

松井守男「遺書」

でもだめなのです。オーナーは鋭い審美眼の持ち主なのですが、5代目で、商売上のプロモーション活動なんてしたことがありません。

 

僕の絵などを保管してある建物には大人一人しか乗れないエレベーターが付いています。なぜそうするかというと、絵を外に運べなくするため、つまり防犯対策です。搬入するときは窓の外からです。こうまでしているのですから、公にはしたくないのは当然なのでしょう。

「黒は使わないよう、上から指導されています」

高校に行って日本の高校生にアートについての授業をしたことがあります。そんなとき、生徒にこう呼びかけました。「みなさんがいつもは使っていない色、嫌いな色の絵の具を出してみて下さい」と。すると、みんなが出したのは黒でした。「えっ、どうして」とたずねると、こう説明しました。

「先生が黒は色じゃない。だから使ってはいけないと言われているんだ」

信じられない。そこで、先生に確認してみました。

そしたら、その先生は、「黒は使わないよう、上から指導されています」というのです。

恐ろしい。本当に恐ろしい。