# 美術

これは何かの冗談ですか? 日本の「アート教育」現場での驚きの実態

黒は色じゃないって、ウソでしょ
松井 守男 プロフィール

「画風が確立すること」のおかしさ

フランスでは、画家が同じ絵を描いてばかりいると、怠慢だと言われてしまいます。描くたびに変化する。それを「進歩」ととらえています。

人間は、時とともに変わるのは当たり前です。だから絵が変わるのも当たり前ということです。

それを一番分かりやすく体現したのは、間違いなくピカソです。僕はピカソの弟子を自認しています。ですから、意図的に、積極的に、僕自身の絵を変化させています。

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そんな僕ですが、ある日本の絵の専門家にたずねられたことがあります。

「いつ画風を確立するのですか?」

何か一つのものを、同じようなスタイル描けという意味でしょうか。即座に言い返してやりました。

「ふざけるんじゃない」
 
最近、日本の新興企業の経営者がオークションで高価な絵画を落札して話題になりました。しかしどうでしょう。私の目には恥ずかしいことにしか映りません。

 

ヨーロッパでは、本当のお金持ちはオークションには匿名で参加します。フランスでは、成金は貧乏より恥ずかしいことと考える風潮があります。「ニューリッチ」というのは、どちらかというと、そうした人を鼻で笑う言い方なのです。以前、ある富豪が僕に高級車のコレクションを自慢したことがあります。

そのとき僕が、「車を集めるのはニューリッチのすることですよ」と忠告したら、恥ずかしそうに顔を赤らめていました。