医学部入試で出た「他人のおにぎり問題」あなたはどう答えますか?

「食べたくない」という人もいる……
小林 公夫 プロフィール

昔は喜んで食べたものだが…

この問題を目にして、筆者がまず想起したことは2つの事柄だった。1つは中学校時代に読んだ太宰治の『斜陽』に出てくる一節である。『斜陽』は太平洋戦争後、家が没落してしまった上流階級(貴族)のあり様を描いたものだが、冒頭に母が娘のかず子に語りかけた言葉として、次のような一節がある。

「おむすびが、どうして美味しいのだか、知ってゐますか。あれはね、人間の指で握りしめて作るからですよ」

当時の私は中学3年生。母のこしらえてくれた温かいおにぎりをよく食べており、妙に納得してしまったのを覚えている。

 

もう1つの記憶は、高校1年生の頃の話だ。父の転勤のため、都会からある地方へ転居した。

高校1年生といえば育ち盛りである。当時私は、1時限目の授業が終了した休み時間に、いつも早弁として母が作ってくれたおにぎりを2個食べることにしていた。サイズは、今で言うコンビニのおにぎりよりは少し大きめのものであった。

すると、毎日美味しそうにおにぎりを食べる私を見て、クラスメイトの男子1人が私の机の前で毎日その様子を見つめるようになった。最初は、1人早弁をする私を珍しいと感じ見ているのだと思った。しかし、ある日「お腹が空いているので、僕にもおにぎりを分けてもらえないか」と告白された。憐憫の情からではなく、私はおにぎりを分け与えた。

時代が違うとはいえ、昔はこのように他人の作ったおにぎりを嫌うどころか、他人の弁当のおかずを勝手につまみ食いするというようなことさえあった。潔癖症、きれい好きは明らかに少数者であるか、いや見かけることも稀であった。

上記の問題を見た後、たまたま気分転換に見ていた深夜番組の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)で、「他人の握ったおにぎりを食べられない人が増えている」という情報が紹介されており、驚いてしまった。

番組では突撃取材のような形式で、「他人の握ったおにぎりを100%食べられる県」として新潟県が紹介され、一方、「全く食べられない県」として熊本県が挙げられていた。

取材自体が路上インタビューのような形式で行われているため、偶然性を排除できず、取材対象者に偏りができること、また、サンプル数自体が数十名程度であることから、データの信憑性に疑問を感じた。

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