世界に出ていくための
大事な「土台づくり」

Photo by iStock

山下は折にふれ、

「3塁手は長嶋だ。長嶋になれ」
「バッティングは王さん。守備は長嶋さん。2人合わせて人間性豊かな松井秀喜を作れ」

そして、
「1年生で石川県一のホームランバッターになれ」
「2年生で北信越一のホームランバッターになれ」
「3年生で全国一のホームランバッターになれ」

と訴え、秀喜が世界に出て行くための意識の土台を築いていった。


そんな山下だが秀喜のバッティング練習の時、複雑な表情を見せることがあった。グラウンドのライトに高いネットが張られているが、秀喜がその柱の左から3本目を狙うと山下の家の屋根瓦を打球が直撃するのだ。硬球が当たって雨漏りの原因を作ってしまう。それぐらい秀喜の打球はフェンス越えを繰り返した。他の部員達はライト後方の丘の下の道路に集まって球拾いをする。

秀喜はやばいと思いながらも左から3本目の柱を狙い、屈託のない笑顔を見せた。


次回は11月24日(日)に公開予定です。

『ひでさん〈松井秀喜ができたわけ〉』
松井秀喜。日本で知らない人はいない。それでは、彼は一体どのようにして野球選手としてだけではなく、一流の素晴らしい人物になったのだろうか。両親の育て方から、家族とのふれあい、学生時の交友関係、そして初恋まで……彼の秘密と魅力が満載。幼少期の貴重な写真やNYでのインタビューも収録。 その中から厳選したエピソードを特別に今後も限定公開予定。お楽しみに!