孤独死した事故物件を「相続」するという、とてつもないリスク

【短期連載】孤独死の部屋(2)
小泉 カツミ プロフィール

売れるならいくらでも構わない

例えばこんなケースがある。

埼玉県の古い一軒家。そこには、50代の男性が一人で暮らしていた。聞くと、離婚して妻と娘は出て行ったらしい。郵便ポストに、新聞やチラシが大量にあふれていたことに不審を抱いた近所の人が、警察に通報したため、ダイニングの床に倒れていた男性が見つかったのだった。

男性は助けを求めるため、玄関をめがけてダイニングを這っていったのだろう。死後およそ2週間。床には、体液がべっとりと沁み込んでいた。

警察は、娘の存在を知り連絡を取ったために、彼女がこの家を相続することになった。もう、10年以上も連絡を取っていない父親の突然の死。娘は知人に相談し、不動産会社を紹介してもらった。ところが、事故物件となったその一軒家に相応の値段はつかない。そのため、不動産会社は事故物件を専門に扱う買い取り業者にあたり、相場の3割程度の金額で手放すことになったという。

 

「買い取り業者もそんなに多くはありません。彼らも買い叩いているわけではないんですね。そうしないと市場が成り立たないのでそうせざるを得ないだけ。『売り主』さんからすると、正直相場もわからないし、どういうふうに売っていいかもわからない。相場のない世界なので、出てきた数字に納得するしかないんです」(佐藤さん)

ある日、突然事故物件を抱えることになってしまったオーナー、または被相続人。泣き寝入りするしかないのだろうか…。

→第3回 孤独死が起きた「事故物件」に入居希望者が殺到するワケ