2019.11.15

LINEを実質買収へ、ソフトバンクGの常套手段「親子上場」の問題点

指摘する声は少ないが…
鏑木 邁 プロフィール

ヨイショを決め込む人々

ソフトバンクGは、子会社のソフトバンク、孫会社のヤフー(ZHD)を持つ。ソフトバンクは昨年12月に東証1部市場に上場し、ソフトバンクGは保有株式の約34%を売り出して約2兆4000億円を調達した。

これを元手に英半導体アームを買収する原資などに当てたが、ソフトバンクGが約6割の株式を所有する状況には変わらず、典型的な「親子上場」案件となった。

 

親子上場は政府も問題視し、東証などに改善を促しているが、ソフトバンク上場については批判のトーンが盛り上がらなかった。先の大手証券ストラテジストは内幕をこう明かす。

「ソフトバンク上場は過去最大の大型案件といわれ、証券会社からすれば手数料収入のかき入れ時でした。主幹事会社として、野村証券、大和証G、みずほ、三井住友、SBI証券に販売が割り振られました。手数料は通常3%程度とされますが、数十億~数百億の真水の利益になったことは間違いない。

そういう超上得意様ですから、証券会社のストラテジストなどは総じてヨイショを決め込みました。『少数株主軽視』などと批判したのは、生命保険系のシンクタンクや今回の利権に絡めなかった一部のネット証券のみです。

私にしても、大手メディアから取材が来た際に『批判的なトーンなら勘弁してくれ』と頼みましたし、記者も『そりゃそうですよねぇ』と承知してくれました」

また先のベテラン記者も、ソフトバンクG傘下の企業に関する報道が適切に行われるかどうかを懸念してこう話す。

「新聞やテレビにとっては、広告収入減で苦戦を強いられる中、ソフトバンクは大型広告を打ってくれる数少ない顧客です。メディアも商売ですから、マンション広告を頻繁に打ってくれる不動産大手などと一緒で批判しにくい相手になっています。

おまけにソフトバンクGは、国内最大のニュースプラットフォームであるヤフーを抱えている。いまやYahoo!トピックスは日本のネットニュースを掌握しているといっても過言ではありませんから、メディアとしては変に批判してヤフーを怒らせたくない。かつては広告代理店最大手の電通が広告枠などを通じて『メディアを支配している』と囁かれましたが、ソフトバンクGも莫大な広告費とニュースランキングによる支配で『第二の電通』となりつつある、と言われています」

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