2019.11.15

LINEを実質買収へ、ソフトバンクGの常套手段「親子上場」の問題点

指摘する声は少ないが…
鏑木 邁 プロフィール

経営統合という華々しい話題にかき消されたようだが、ソフトバンクGは2019年7~9月期(四半期)の連結決算で7001億円の最終赤字を計上している。出資していたウィーカンパニーが今年中にニューヨーク株式市場に上場する計画だったが、それが頓挫し評価損が発生したためだ。四半期決算としては過去最大の赤字で、同社会長の孫正義氏自身が創業以来の「真っ赤っかの大赤字」と評する体たらくだった。

孫氏は2016年に10兆円の資金を運用するソフトバンク・ビジョン・ファンドを設立。世界のスタートアップ企業に出資してきたが、ウィーカンパニーだけでなく米配車大手ウーバー・テクノロジーズなど他の投資先も株価が急落するケースが多く、計画通りに進んでいない。

 

ソフトバンクG「親子上場」の論点

ソフトバンクGといえば、子会社で携帯電話大手のソフトバンクのイメージから通信会社というイメージが強いが、実態は投資会社であり、これまでも企業買収などを通して事業を拡大してきた。同社はそのための資金調達に、ファンド以外にも「親子上場」を利用してきた。

「親子上場」とは、親会社と子会社がともに証券取引所に株式を上場し、個人など一般投資家から資金を集めることを指す。

この制度は、「株式市場からの『二重取り』ではないか」「親会社の方針によっては、子会社株主が不利益を被る」といった批判にさらされてきた。全国紙経済部のベテラン記者はこう解説する。

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「親会社が子会社の株を過半数持っている状態で子会社を上場させれば、たとえば子会社の利益の一部を親会社に移転させるとの経営判断がなされた場合、子会社の株を買った一般投資家は親会社の判断に逆らえません。

株式会社は最大株主の利益を優先します。一般株主が、子会社の実質的経営権を握る親会社に異議を申し入れても、『子会社の話ですから、そちらに文句言って下さい』と言われて終わり。親会社を含めたグループ全体が調子よければ問題ないのですが、経営が悪化した瞬間に不満が爆発しかねない、少数株主軽視の制度なのです。

経営権が絶対に握れないような子会社の新規上場株には、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行などの機関投資家は手を出しませんから個人投資家ばかりが割を食うことになります」

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