言うほどオワコンか?ユニクロ柳井社長「日本は滅びる」発言の妥当性

「全員が社長」の世界って、幸せなの?
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さらに、柳井社長は「日本人の労働力だけではもう足りない。もっと外国人労働者を積極的に受け入れろ。真のグローバル化は、外国人と一緒に仕事をすることだ」と声高に訴える。

では、その言葉どおり、歯止めをかけずに外国人を受け入れたとしよう。そうなると、ただでさえ人口が減っている日本人は、国内でどんどん隅に追いやられることになってしまう。

自分が生まれた国なのに、居場所がない。そんなものが果たして「日本」と呼べるのだろうか。

「柳井さんの発言は、会社をどんどん大きくして、どこまでも儲けてナンボという、極めて経営者的な視点からきています。つまり、昭和期の高度経済成長と同じ状況を、令和の時代に再現しようとしているふうにみえます。

ですが、今の日本人の多くが望んでいる方向でしょうか。カネ儲けだけではない、別の価値観もあるはず。それを探していこう、という『低欲』が今の日本人の気分。このままでは、『笛吹けども踊らず』になってしまうのではないでしょうか」(前出・竹内氏)

 

助け合いも「悪」ですか?

柳井社長が言う「公務員不要論」を突き詰めたその先にも、悲劇が待ち受けている。

「そもそも、日本の公務員の数は、人口比で主要各国と比べて最も少ないのが実態なんです。

'15年の調査でも、一般企業などを含めた雇用者全体の中で、公務員が占める割合は、わずか5.9%に過ぎません。OECD加盟国の平均が18.1%であることを考えれば、いかに日本の公務員が少ないのかがわかります。

それにもかかわらず、柳井さんは彼らを容赦なくクビにしろと言っている。『公務員を減らせば国の成長に繋がる』という彼の主張が、どれだけ非現実的で荒唐無稽なのかわかるでしょう」(前出・室伏氏)

たとえば今年、日本各地で猛威を振るった自然災害。

千葉県や長野県をはじめ、台風や豪雨で甚大な被害のあった地域では、消防士や救急隊、警官、役所勤めの人たちが「公僕」として、身を粉にして被災者のために働いてくれた。

世界有数の富豪である柳井社長にとってみれば、ちょっとやそっとの災害で自分の生活が崩壊し、命が脅かされることなど想像すらできないかもしれない。だが、市井の人たちはそうではない。

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だからこそ、有事の時には皆が助け合ってきた。公務員が半分になって誰もが自分の利益だけを考えるようになれば、災害からの復興は難しくなる。カネがあればすべて解決できる、というわけではない。