言うほどオワコンか?ユニクロ柳井社長「日本は滅びる」発言の妥当性

「全員が社長」の世界って、幸せなの?
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だが、その一方で、彼の主張を読めば読むほど、「この国は、そんなにダメなんだろうか」という気分にもさせられる。

柳井社長の「改革案」一つ一つは、たしかに説得力がある。しかし、正しいことだけやっていれば、いい結果になるとは限らない。それほど世の中は単純ではない。

柳井社長の主張どおりになれば、いささかバランスを欠いた国になってしまうのではないか。

 

経済がすべてじゃない

たとえば柳井社長は日本企業の年功序列や終身雇用を「形骸化している」と、痛烈に否定する。

もっと儲けるために、旧態依然とした日本企業の在り方とは決別しろ。それが、柳井社長の主張だ。だが、そんな経済合理性だけで現実が動いているわけではない。

「年功序列や終身雇用には、間違いなくメリットがあります。年次とともに右肩上がりで昇給していったほうが、社員も先を見通せるし、安心して生活を送ることができるでしょう。

それが結果として、目の前の仕事に集中し、全力を注ぐことにも繋がる。いい循環が生まれるんです。

サラリーマンは、入社してから家庭を持ち、家族が増えるケースがほとんどです。それに伴って、ライフサイクルに応じた報酬を受け取る。これは人間が社会生活を送るうえで、必要不可欠です。

どのような時代であっても、働く人の人生にきちんと寄り添った制度ならば、それは肯定すべきでしょう」(城南信用金庫顧問の吉原毅氏)

日本の会社は年功序列の昇給制度の他にも、住宅手当や家族手当など、海外の企業では考えられないほどのきめ細かく手厚い福利厚生が定められている。それが土台となって会社という組織の一体感が生まれ、健全なコミュニティーが成り立ってきた。

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