マスクをつけてもインフルエンザ感染を防げない理由

免疫学の第一人者に聞いてみた
宮坂 昌之 プロフィール

というのは、実は感染していなかった人が感染を疑って慌てて医療機関に行くと、かえって感染をもらってくる可能性があるからです。さらに、かぜ症候群やインフルエンザを治す特効薬は現在のところありません。

一般に「抗生物質」と呼ばれる抗菌薬は細菌にしか効果がなく、かぜの約9割を占めるウイルス由来のかぜには効果がありません。タミフルやリレンザ、ゾフルーザなどの抗インフルエンザ薬も、半日程度回復を早める程度の限定的な効果しかありません。体調が優れない中、わざわざ感染リスクが高い医療機関に出向くほどのベネフィットはないように思います。

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  感染リスクが高い医療機関に出向くほどの利はない photo by gettyimages

長年、免疫の研究を続けてきた著者からみると、日本人には、免疫や感染症予防に関しての基礎的な知識が欠けているように思えます。テレビや新聞、インターネットには、毎日のように「免疫力を高める」とか「がんを免疫で治す」といった情報が流れていますが、その多くに科学的エビデンスが欠けています。

残念なことに、多くの人たちが、そのような誤った情報に惑わされて、かえって健康を損ない、ときには寿命を縮めているケースもあるようです。信じるものは救われる、と言いますが、健康食品や民間療法の多くは、信じても救われません。そのようなものに頼るよりも、からだの働き方を科学的に理解して、それに伴ったものの考え方、生活の仕方を実践することが賢明です。

ブルーバックスから刊行した『免疫力を強くする』では、こうした免疫にまつわる「ウソ・ホント」を科学の視点からやさしく解説しました。ご興味のある方はぜひご一読いただけますと幸いです。

がんを免疫力で治す!? その話しって大丈夫?

免疫力を強くする
最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ

世間では、免疫にまつわる情報が非常に多く流布しているが、免疫学的に見ると、科学的エビデンスが欠けているものが多い。怪しげな情報に惑わされて、かえって健康を損ない、寿命を縮めている、そんなケースがあるのではないだろうか? インフルエンザ、風邪からがんまで、免疫とワクチンについてのウソ・ホントを科学的な解説する。流行前に"服用"したい「読むワクチン」!

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