photo by iStock
# 韓国

朝鮮籍は北朝鮮人…? ある「在日コリアン」が直面した強烈な違和感

よそ者に厳しい日本の現実

私がアイス・バケツ・チャレンジを忘れられないワケ

私には喉に魚の骨が支えたようにどうしても忘れられない出来事がある。それはいまから5年ほど前に、突如、世界中で湧いてブームになったアイス・バケツ・チャレンジというものにまつわるものである。

photo by GettyImages

アイス・バケツ・チャレンジとは筋萎縮性側索硬化症 (ALS)の研究を支援するために、多くの識者、有名人がお金を寄付するか氷水をかぶるかその挙動を動画に収めてSNSでリレーしていくものだった。

なぜ在日韓国人の私がこのアイス・バケツ・チャレンジを忘れられないというのか。ALSの親戚がいたわけではない。私にとってその頃は、在日朝鮮人・韓国人に対するヘイトスピーチが吹き荒れていたその時だったからだ。

そしてその頃、世界中の識者、有名人に呼応して、日本でも多くの方々が水をかぶって、ALS患者の置かれた、健康な人間と彼らの間に横たわる不公平の是正に力を貸そうとしていた。爆発的なブームだった。

同じ時期、ヘイトスピーチは激しさを増す一方だった。だが、水をかぶっている人で、ヘイトスピーチに言及してくれた人は少なかった。私が知る限り、茂木健一郎氏くらいだったと思う。

 

その後しばらくして、ヘイトスピーチは看過できないものとなり、人権派の政治家、社会運動家、そしてヘイトスピーチの被害を受けた当事者が、私からすると尊敬に値するとしか表現できないような活動を積み重ねてくださり、結果、国会でヘイトスピーチ規制法が出来上がった。

活動では、与党自民党の中でも右派というような人も巻き込んで、立法化が結実した。だから私は無力感を訴えたいのではない。

無力ではなかったが、しかし、「在日」であることは、ALSと同様に可視化された不公平、不正義であることにも関わらず、両方の問には、関心を持ってもらった人の幅の広狭の差が歴然として存在していたということだ。

なぜアイス・バケツ・チャレンジに挑む方々はおなじ義侠心、正義感でヘイトスピーチに対峙してくれないのだろう。当時、そんな風に感じてしまったために、私はアイス・バケツ・チャレンジを忘れられないでいるのだ。