ナチスに対する肯定的なイメージ操作だけでなく、敵視する人々を貶める技法にもヒトラーは長けていた。
〈衣服については、ヒトラーは、デザインで敵対者を攻撃することにも長けていました。強制収容所に入れられたユダヤ人などが着せられたパジャマのようなストライプ模様の囚人服も、デザイン的にはマイナス・イメージを強調するものです。
また、被収容者を色分けし(ユダヤ人・黄色、ロマ・茶色、エホバの証人・紫色など)、その色の逆三角形の布をマークとして着用させるのも、ナチスのデザイン的プロパガンダです〉
舛添氏がこのタイミングで本書を出したのは、世界的規模で民主主義が機能不全を起こしていることに対する危機意識からだと思う。
2016年6月に東京都知事の職を不幸な形で舛添氏は去ることになったが、類い稀な知力と表現力を活かして、現下の政治に警鐘を鳴らす仕事を続けて欲しい。
『週刊現代」2019年11月16日号より