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正月の「一富士、二鷹、三茄子」。その後続く四、五、六をご存じか?

江戸時代に生まれたことわざ

由来は諸説あるが…

「一富士、二鷹、三茄子」

これは、江戸時代に生まれたことわざで、初夢に見ると縁起が良いものの順番とされている。

なぜ、この三つなのか。由来については諸説あるが、有力なのが「徳川将軍家に縁の深い駿河の国(現在の静岡県)と結びつけた」という説だ。

慶長10年(1605年)、徳川家康は将軍職を息子の秀忠に譲り、隠居先をゆかりの地である駿河に決めた。

 

久しぶりに戻ったとき、家康が驚いたのが茄子の値段の高さだった。こんな言葉を残している。

「まず一に高きは富士の山、次は足高山、そして初茄子」

駿河で二番目に高い山である「足高山」が「タカ」と訛り、「富士、鷹、茄子」となったという。

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こうして生まれたことわざだが、実は続きがある。「四扇」「五煙草」「六座頭」とつながるのだ。

「扇」は扇ぐために使われるだけでなく、お祭りや舞踊のときに使用する小道具だ。「煙草」は、祭りやお祝い事など、人が集まる席になくてはならないもので、どちらも縁起物とされていた。

「六座頭」の座頭とは、髪の毛を剃った盲人を指す。『座頭市』と聞けばピンとくる人も多いだろう。髪の「毛がない」ことから、「怪我ない」を表すとされて、家内安全を願う象徴となったわけだ。

このことわざは、庶民の間で大流行した。宝船や七福神のように、いかにも縁起がいいものではないところが肝だ。意味がわからないからこそ、神秘的で惹きつけられる。

頭のいい商人は「一富士、二鷹、三茄子」の絵を刷り物にして、年末に売り出していた。その紙を枕の下に敷いて寝ると、すべて夢に出てくるという触れ込みだ。就寝前の自己暗示で、成功した人もいたに違いない。

ちなみに扇や煙草、座頭が生まれた由来も諸説あるが、いまだに判明していない。恐らく、さらに儲けようとした商人たちが、絵を売り出すために無理やりこじつけて作ったのではないだろうか。

商魂が見え透いたのか、覚えるには長すぎたのか、結局「三茄子」以降は廃れてしまう。(水)

『週刊現代』2019年11月16日号より