通貨異変、日本円がここへきて「人気凋落」が止まらないワケ

地盤沈下が始まった
唐鎌 大輔 プロフィール

「動かない→儲からない→取引しない…」の悪循環

今回のBIS調査では、こうした円の不人気について「大部分は重要なドル/円ペアの低ボラティリティーによるもの」と分析している。

確かに、ドル/円以外のユーロ/円や豪ドル/円といった主要なクロス円通貨の取引は過去3年で増えており、ドル/円の不人気が円全体の不人気を象徴していることが分かる。

 

また、円全体の取引高からすれば小さな存在だが、証拠金取引を好む個人投資家が好みやすい高金利通貨を対象とする取引も世界平均を超えるペースで増えている。

例えばトルコリラや南アフリカ、ブラジルレアルといった通貨であり、これら3通貨を対象とした円取引の平均取引高(日次)が「2016年の70億ドルから2019年は120億ドルへ膨らんでいる」とBIS調査では指摘されている。

今や個人投資家でも多くの取引通貨を選択可能な時代になったため、こうした動きは必然と考えるべきなのだろう。「短期で手っ取り早く儲けたい」という誘因が強そうな個人投資家がわざわざ「動かない通貨ペア」を選ぶ理由は無い。

こうしたBIS調査の結果を見る限り、近年のドル/円相場が極小レンジに収まっている背景には「相場のアヤを取りにくいドル/円ペアではなく、もっと派手な動きをする通貨ペアが良い」という投資家の思いが反映されている可能性が推測され、端的に言えば「ドル/円相場は動かなくてつまらない」という思いの結果ではないかと思えてくる。

もちろん、「何故、動かなくなったのか」という根本的原因を究明すべきではあるが、「動かないから儲からない。儲からないから取引しない。取引しないから動かない」という悪循環に嵌まっており、ドル/円相場を突き動かす起爆剤でもない限り、現状が容易には変わらなそうだという認識は持ちたい。