ヨシタケシンスケの絵本が小学生にも大人にも「驚異的にウケる」秘密

「答えのない時代」をどう生きるか?
飯田 一史 プロフィール

「絵本ブーム」の中でも突出

メディアで「絵本が売れている」と特集が組まれるようになるのは2010年代半ば以降のことである。

出版科学研究所の「出版月報」2016年6月号「絵本 好調の背景を探る」によれば、絵本新刊1点あたりの発行部数は、90年代後半は約7700冊で推移し、01年には9000冊まで上がったものの、それ以降は減り続け、2010年代半ばはおよそ5000冊とピーク時の約半数になった。しかし、2015年以降に急増している。

 

さらに、「絵本大ブームの理由」と題して小特集を組んだ「日経トレンディ」(日経BP社、2017年4月号)は、近年の絵本はSNSの話題をテレビが取り上げることでヒットになるとし、西野亮廣『えんとつ町のプペル』、カール=ヨハン・エリーン『おやすみ、ロジャー』、のぶみ『ママがおばけになっちゃった!』などがその例であるとする。

同誌は絵本ブームの理由を、次の4つにまとめている(73~76ページ)。

「大人の心をつかむ」(若手作家の常識にとらわれない試み)
「ネットで拡大」(テレビやSNSを経て人気が増幅)
「すぐに試せる」(実際の購入に結びつく“全文試し読み”)
「売り方も変わった」(展示会やフェアで絵本がより身近に)

つまり、「大人の人気により、絵本市場で新進作家がブレイクするケースが増えた」と分析している。未就学児や小学生はSNSを基本的に使わないので、「SNSのおかげ」と「大人のおかげ」はほとんどイコールである。

ヨシタケシンスケも、大人の間で人気が高い作家だ。

第6回MOE絵本屋さん大賞2013で、デビュー作の『りんごかもしれない』が1位になって以降、第7回(2014)で『ぼくのニセモノをつくるには』が9位、第8回(2015)で『りゆうがあります』が1位、第9回(2016)で『もうぬげない』が1位、『このあとどうしちゃおう』が2位、第10回(2017)で『なつみはなんにでもなれる』が1位、『つまんないつまんない』が3位、第11回(2018)で『おしっこちょっぴりもれたろう』が1位、『みえるとかみえないとか』が2位と、毎年のようにトップクラスの得票を得ている。

この「MOE絵本屋さん大賞」は全国の絵本専門店・書店の児童書売り場担当者が選出するもので、いわば「本屋大賞」の絵本版だと言える。つまりヨシタケシンスケは“大人の”書店員にもっとも推されている絵本作家のひとりでもある。

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