2019.11.16
# 中国

中国人も「プライバシー軽視」にはNO!顔認証システム巡り議論沸騰

監視大国で個人の権利は通るのか
古畑 康雄 プロフィール

政府系メディアも「現代版『入墨刑』」と異論

29日付新京報によれば、北京市地下鉄開通50周年に当たる今年、交通運輸省が指導、北京市地下鉄運営公司が主催する「都市軌道交通発展フォーラム」が同日、北京で開かれた、

北京市地下鉄運営公司党書記、董事長の謝正光は市民が関心のある安全検査の問題で、(荷物検査が不要となり素早く入場できる)「快速安全検査通路制度」を実施、規則違反の行為には社会的懲戒を加えるとした。

北京市軌道交通指揮センター当局者は、現在行っている身体と所持品両方の検査は効率が低く、大量の乗客との矛盾が突出していると指摘。顔認証システム導入により乗客を識別、安全検査担当者に情報を送り、担当者はこれに応じて異なる安全措置をとるとしている。

地下鉄北京駅構内で・筆者撮影

北京の地下鉄では筆者が住んでいた20年ほど前は安全検査が行われていなかったが、その後バッグなど所持品のX線検査が行われるようになり、さらには人体の安全検査も導入された。その結果、朝夕のラッシュアワーには改札前に大行列ができるなど問題が起きているようだ。

 

だがこうした導入にメディアや学者の間からは異論が出た。共産党の有力機関紙、光明日報(電子版)は30日、「顔認証技術を現代の『入墨刑』にするな」という厳しい見出しの評論を発表した。

この中で、中国の公共交通機関は世界で最も厳しい安全検査を行っているが、中でも北京市の地下鉄はより厳しいとして、乗客のスムーズな流れに影響が出ているため、現在のやり方の見直しは予想できたことだとした。

だが、顔認証技術により一部の乗客を検査が厳しい通路に誘導し、一方で別の乗客を検査が緩い通路に誘導したら、それは公共の場所で赤裸々な差別を行うに等しいのではないか、特にその差別の理由が明らかにされず、本人すら知らないという状況では、この種の差別による被害がより大きくなるとの懸念を表明した。

「ある人が犯罪や規則違反、権利侵害などの疑いがあったにしても、その有無は裁判所の公開の審理により結論付けなければならず、原告と被告、起訴した側と弁護側との間で、証拠調べや証言が行われ、裁判官はそれに基づいて判決を下す。そのような場合でも、冤罪事件が起きる恐れがあるのに、顔認証システムにより市民が知らず識らず顔を見られ、分類されることになる。これはやっていいのだろうか?」と疑義を投げかけている。

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