2019.11.16
# 中国

中国人も「プライバシー軽視」にはNO!顔認証システム巡り議論沸騰

監視大国で個人の権利は通るのか
古畑 康雄 プロフィール

「顔認証システム」に初の訴訟

複数の華字メディアによれば、浙江理工大学法学部の郭兵副教授は10月28日、杭州の動物園が観光客に強制的に顔認証を行っており、消費者の人身や財産に危害を与え、違法だとして提訴した。

郭副教授が訴えたのは「杭州野生動物世界」で、11月1日に杭州市の裁判所が受理し、中国初の「顔認証をめぐる訴訟」として注目を集めた。

 

訴状によると、今年10月、動物園は通年パスのユーザーに、現在の指紋認証に代わり顔認証を導入すると通知、顔が未登録の場合は入場できないとした。さらにこの新たなシステムを拒んだ客へ払い戻しを拒否。動物園の通年パスを所持する郭氏は、規定を受け入れることはできないとしている。

郭氏は訴状で、「中華人民共和国消費者権益保護法」は、経営者が消費者の個人情報を収集する場合は「合法、正当、必要」の原則を守り、かつ消費者の同意を得る必要があると規定しているが、動物園は一方的に新たな認証システムを導入し、生体認証データなど敏感な情報を強制的に収集しており、同法に違反していると主張。

そしてこの情報が一旦漏えいしたり、違法に使用されたりした場合、消費者の人身や財産が侵害される恐れがあるとして、1360元(約21000円)の年会費返還と訴訟費用を求めた。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、この訴訟は中国政府が関連部門や企業が顔認証システムの使用をどう監督するかに影響するだろうとの専門家の見解を紹介した。

北京のIT企業の幹部は、顔認証など先端技術は中国で幅広く使われているが、個人、企業、政府などはその潜在的なマイナスの影響について十分考えていないと指摘。別の弁護士も、この事件は生体認証情報収集について、法的なガイドラインがない状況を見直すきっかけになるとしている。

さらに、郭氏が訴訟を起こした翌日の10月29日、北京市の地下鉄で乗客の安全検査に顔認証システムが導入されることが発表され、大きな議論となった。

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