2022年には2人に1台の監視カメラ
この報道によれば、中国には現在約2億台の監視カメラがあるとされ、人口1000人当たりの監視カメラの台数で、世界の上位10都市のうち中国の8都市が入った。具体的には重慶、深圳、上海、天津、済南、武漢、広州、北京で、重慶は1000人当たり168.3台、深圳は159.09台という。
さらに2022年には213%増の6億2600万台に達すると予測され、つまり13億の国民2人に1台の割合で広がることになる。
こうした監視カメラの増加に合わせて進んでいるのが、顔認証システムだ。最近では商店などでスマホアプリのバーコード決済ではなく、あらかじめ登録した顔をカメラに向けるだけで、自動的に支払いが行われるシステムが日本のメディアでもしばしば紹介される。
大学の入り口でも、顔認証によりあらかじめ登録された学生や教員はそのまま校内に入れるが、部外者は呼び止められる。「出入りするたびに画像を撮られるちょっとした気分の悪さはあるが、学生らの大学生活に安心感を与えている」と中国メディアは伝えている。
顔認証はこのように交差点、ホテル、オフィス、学校など各地に配備され、コンサート会場で指名手配犯が逮捕された実例もある。
欧米などではプライバシーの問題から、顔認証システムの導入に反対論が根強い。だが中国では、利便性のためなら多少のプライバシーは構わないというのが、中国人の大方の考え方だと紹介する文章も日本ではちらほら見かける。
こうした見方の論拠の1つとされるのが、大手検索サイト、百度の李彦宏CEO(最高経営責任者)が昨年3月、あるフォーラムで語った「中国人はプライバシーの問題にそれほど敏感ではない。プライバシーと引き換えに利便性を手に入れられるのなら、多くの場合彼らは喜んでそうする。そして我々はそのデータを用いていろいろなことができる」という発言だ。
だが、実は必ずしもそうではなく、プライバシー侵害の懸念が広がっていることが、最近起きたいくつかの事例から明らかになっている。