死は必ず来る。死ぬ瞬間はつらいのか、痛いのか、それとも幸福なのか

すべての先人たちが直面した悩みと現実
週刊現代 プロフィール

死を意識するのは、つらいけれど

前出の平野氏も、現代の日本人は死を意識するのを避けていると見ている。社会が死をタブー視しているうえに、医療の現場では「死なせる」ための医療を志向していない。

「いつまでも長生きするのが一番」――この言葉によって、「死」を考えることから人は遠ざかる。平野氏は無残な現場を何度も見てきたという。

 

「90代にもなる高齢の男性が老衰で亡くなろうとしているとき、親族が一堂に会して『死ぬな』『死ぬな』と交代で何時間も心臓マッサージをしているのを目の当たりにしたことがあります。

医学的にはもうできることもないのですが、冷静さを失っておられた」

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「平穏な死」よりも、「一日でも長生き」が正しいという考えがあったからこそ、家族も死を受け入れられなかったのだ。

むしろ、死を意識することで、今の「生」をより濃く生きることができる。それこそが、うまく、よく死ぬためのコツでもある。めぐみ在宅クリニック院長の小澤竹俊氏は言う。

「死を意識すると、日常の当たり前のことがすごく幸せなことだと感じられるようになります。傲慢になる気持ちを戒め、人の温かさに触れることができる。それだけでも、人生が充実したものになるでしょう」

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