死は必ず来る。死ぬ瞬間はつらいのか、痛いのか、それとも幸福なのか

すべての先人たちが直面した悩みと現実
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その瞬間「心」はどこへ行くのか

2000人の死亡診断書を書いてきた「看取りの医者」であるホームオン・クリニックつくば理事長の医学博士・平野国美氏が語る。

「多くの人は、死を迎えるとき、1週間から2週間前に昏睡状態に入っています。おそらく音や声は聞こえているけれど、言葉の意味を理解しているとは思えません。

脳内麻薬のエンドルフィンが出ており、『夢』を見ているような状態になっているでしょう」

病状の進行の過程で激しい痛みや苦しみを覚えることはあっても、本当の死の直前には、人は意識を失うものだという。矢作氏も言う。

「今までの看取り経験でいえば、がん患者でも老衰で亡くなる方でも、最期は平穏で、穏やかな表情で旅立ちます。人間の体や脳は『死』を受け入れるようにできている」

 

(2)「死後がわからない」という恐怖はどうか。『人はなぜ「死ぬのが怖い」のか』著者で慶應大学教授の前野隆司氏は言う。

「動物は死の恐怖を持ち得ない。進化して脳が発達し、心を持った人間は、自分がいなくなった後を想像できてしまうことから、死への恐怖を持ってしまったのです」

そのために、宗教は「死後の世界」を設定したし、古くを遡っても、ギリシア神話には「冥界」が、古事記にも「黄泉国」が描かれる。矢作氏も、輪廻と死後の世界を信じているという。

だが前野氏は、「人間の持つクオリア(心)は死の瞬間に失われる。死を感じることも、その死によって恐怖に戦くこともない。

本当の死は誰にも味わうことができない以上、人は勝手に『死』を想像して怖がっているだけです。怖がっても仕方がない」と考えている。

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