2019.11.14
# 格差・貧困

ホームレスの人が一番怖いものが「私たち」だって知っていますか?

「恐れと不安」が連鎖する社会
飯島 裕子 プロフィール

彼は身なりも清潔でホームレスであるとは想像しがたいのだが、人と目線が合うだけでおびえてしまうーーその思いは半ば被害妄想に近い。彼のライフストーリーを聞いたところ、学校でいじめに遭い、会社でも人間関係につまずき、リストラに遭うなどした結果、自己肯定感が低いのだということがわかった。

 

避難所に「行きたくても行けない」

夜は怖くて公園では休めないという人も少なくない。実際、ホームレスが襲撃される事件が起きているのは事実なのだが、彼らの多くはホームレスを排除するわれわれ社会に対して大げさとも思えるほどの「恐れ」を抱いているのだということがわかるだろう。

先述のビッグイシューだが、販売者であるホームレスの人たちは雑誌を売るためには、路上で出来るだけ目立ったほうがいい。しかし実際には消え入るように立っている人が多い。自己責任論が跋扈する世の中で、自身がホームレスであることを晒しながら人前に立つことは容易なことではないのだろう。

駅のホームや公園にある一つずつ座席が区切られた”横になれない椅子”や屋内の空きスペースに設けられた”排除アート”、住所がなければ仕事も携帯電話一つ手に入れられない現実など、ホームレス状態にある人たちは自分たちが社会の枠外に置かれていることを十分過ぎるほどわかっている。

〔PHOTO〕iStock

だからこそ相当の理由がない限り、避難所に行こうとはしない。厚労省による調査では都内にいるホームレスは1126人(ちなみにこの人数にはネットカフェ等にいる人は含まれていない)。大半の人が避難所に行っていない事実からも明らかだ。

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